今回は、現在の世の中で特に身近なものになったワクチンを運ぶドローン技術についてお話ししていきたいと思います。
まず初めに、についてお話しし、の順に説明していきたいと思います。
物流市場の現状
※株式会社楽天「平成27年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」
まず初めに、物流市場の現場について説明していきたいと思います。
上記の資料によると、近年宅配便を利用する人が増加傾向にあります。
この理由として、ショッピングがオンライン化していることが挙げられます。
さらに、現在ではコロナウイルス感染症のパンデミックがこの動きに拍車をかけているように、この記事をご覧になっている方々も宅配便を利用されている方が多いのではないでしょうか。
このような現状を踏まえ、モノをいち早く且つ確実に届ける方法の構築をすることがこの日本の経済発展に貢献しうる重要な課題の一部とされているんです。
ドローンの輸送技術
続いて、ドローンの輸送技術についてです。
結論、現在の技術ではドローンで積載できる重量は非常に小さいです。
通常の産業用ドローンで積載可能な総重量は5kg前後となっています。
現在でも5㎏程度であれば輸送することは可能なので、例えば災害救助用の道具であったり、郵便などの小型かつ軽量のものであれば、すでに輸送が実現されているものが多くあるのが現状です。
しかし、民間の輸送物のなかで一番メジャーなものでは、1〜2個を運ぶのが限界になるので、逆に効率が悪くなってしまうんですね。
また、積載量が増えることにより、リスクマネジメントの重要性も高まってくるので、高重量輸送を可能にする且つ高い安全性を実現するドローンおよび、周辺機器の開発が国内外メーカーに託されています。
ドローン輸送技術の課題
ここでは、ドローン輸送における課題についてお話ししていきたいと思います。
一つ目は、「バッテリー」です。
通常、ドローンは20〜30分飛行するのが限界で、長時間の飛行のためには一回一回バッテリーを変える必要があります。
これは、ドローンが積載できる重さとその重さのなかに溜めることのできるエネルギー密度がほぼ限界に近づいていることが原因です。
二つ目の問題と重なる部分ではありますが、このエネルギー密度の濃縮技術、積載量の増加によってこの問題は解決されます。
しかも、逆にこの困難を乗り越えればドローン業界だけでなくあらゆる産業で技術革新がもたらされるでしょう。
二つ目は、「輸送能力」です。
物流などの分野でもドローンは機体がかけられていますが、その中で最大の障壁となるのがこの輸送能力です。
先ほど申し上げた内容に重複しますが、現在にかけてかなり進化を遂げてきているドローンは、通常で5キロほどの積載が可能とのこと。
これではいくらなんでも輸送インフラをそのまま取って代わることはできません。
しかし、現在国内外の事業でドローン輸送の技術開発が進められており、国内ベンチャー企業でも50キロ近い積載が可能なドローン、国外では200キロもの積載が可能なドローンが研究・開発されているようです。
安全性や上で紹介したような電力消費問題など、他の問題との課題は山積みではありますが、ソリューションは生み出されつつあります。
三つ目は、「安定した通信インフラ整備」です。
ドローンの安定飛行にはGPSなど、通信技術がかなり密接に関わってきます。
今現在物流が行われるような地域は、基本的に山道や人が密集しない地域です。
このような地域では、まだ依然としてこの通信インフラがととのっていないケースが多々あります。
5Gなど、現在の他の媒体における通信技術は革新傾向にあるため、ドローンも安定した飛行のために、安定的に強い電波の供給ができる環境づくりを行う必要があります。
ドローンの輸送事例
続いて、ドローンの輸送・ロジスティクス産業の過去事例についてご紹介いたします。
日本郵便
まずは、日本郵便の事例です。
日本郵便は福島県にある福島県南相馬市の小高郵便局と福島県双葉郡浪江町の浪江郵便局2か所の郵便局の間をドローンが行き交うという実験を2018年に行いました。
なんと、この実験は日本で初めて目視外によってドローン操縦が行われたものなんですね。
郵便局間は約9kmで、ドローンは2kg以内の荷物などを積載して地面から60m以下の高度を、時速約54km以下で飛行したようです。
2020年にも、東京は奥多摩の方の地域で実験を繰り返しているようですね。
楽天
続いて、楽天の事例です。
楽天は、日本初となる友人等へ向けた自動飛行ドローン配送サービスをプレスリリースしました。
楽天はかねてからドローン事業に力を入れており、様々な実験のすえ三重県志摩市内のスーパーマーケットから間崎島へ期間限定で商品を配送するサービスを展開したんですね。
このサービスでは、志摩市内にあるスーパーマーケット「マックスバリュ鵜方店」から約4km離れた広さ0.36㎢の間崎島の「間崎島開発総合センター」にドローンが荷物を届けます。
専用スマートフォンアプリもしくは総合センターに設置するタブレットにて注文をすることで、本島から購入したい商品が届くのはすごいですよね。
配送料は一回500円で、期間は1月6日から22日まで行われていたようです。
ワクチンを運べるのか
最後に、本記事のメインテーマである『ワクチンの輸送』についてお話ししていきたいと思います。
まずは、以下の記事をご覧ください。
ドローンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いで重要な役割を果たしている。その役割とは、ワクチンが最も必要とされているコミュニティへの輸送だ。 ワクチンを入手できない状況を伝えるメディア報道のほとんどは、多くの国でワクチンが絶対的に不足している原因として、生産上の限界や価格設定だけを論じており、物理的なワクチン輸送に伴う実際の物流面の課題についてはほとんど触れていない。 米国サンフランシスコを拠点とするドローン輸送サービスのジップラインは、自社の経験と革新的技術を活用してこの問題に真っ向から取り組んでおり、僻地への新型コロナワクチン輸送を支援している。 途上国へのワクチン普及を進める国際組織「Gaviワクチンアライアンス」は2021年2月下旬、同組織が世界保健機関(WHO)とともに進めるワクチン共有の国際スキーム「COVAX」を通したワクチンの輸送支援に関して、ジップラインがガーナ政府と提携したと伝えた。 その報告によれば、ジップラインは、地上でのワクチン輸送で重要な役割を担う米物流大手UPSと連携。医薬品輸送用の自律型ドローンと、戦略的に配置された「ネスト」(ドローンが離着陸するための拠点)を用いて、ガーナ全土でのワクチン配送を支援するという。 広告 報告の著者であるマヤ・プラブフ(Maya Prabhu)は、次のように述べている。「医療施設であれ、遠隔地のアウトリーチ型ワクチン接種センターであれ、ドローンが目的地に到着したら、ドローンは着陸するかわりに、高度を下げて積み荷を上空から投下する。その後、積み荷のパラシュートが開いて地面に向かって降下し、幅およそ3メートルの着陸ゾーンに、安全かつ正確に着陸する」 ジップラインは、ガーナの医療インフラにおいて重要な役割を担ってきた。とりわけ、パンデミックのピーク時には、僻地における新型コロナウイルス感染症検査に関して、きわめて必要性の高い支援を提供してきた。 下の動画では、ジップラインのルワンダでの活動を紹介している。ジップラインはルワンダでも同様に、重要な医療アクセス計画を支援した。 ドローンの医療用途での利用が検討されるのは、今回が初めてではない。2020年10月のForbes記事では、医薬品大手のメルクが、米国カリフォルニア州を本拠とするドローン技術企業のヴォランシと提携して、定期薬をエンドユーザーへ、製造施設から効率的に配送する方法を開発することを報道した。
※ForbesJapan『途上国等での新型コロナワクチン輸送、期待されるドローンの利用』より
上記の記事からも分かるように、現在世界では、ワクチンを運ぶドローンと、そのドローンの離着陸拠点となるネストの研究開発が進んでいます。
記事にもあるように、こうしたワクチンをはじめとする医療機器の輸送は十年以上前から取り組まれてきていて、今様々な国で実用化が進んでいる最中と言えるでしょう。
今後も、前の項目で紹介した課題等を乗り越えることで、様々なドローン輸送の実現が図られると言えます。
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、ドローンによるワクチン輸送について、ドローンの物流や輸送市場などのデータを紹介しながらお伝えいたしました。
ドローンの市場は物流や農業事業を中心にこれからも拡大していくと言えるでしょう。
これからもドローンに関する記事を様々な角度からお伝えしていきますので、ご覧いただければ幸いです。
また次回の記事でお会いしましょう。