今回は、ドローンの仕事の中でも人気な『ドローン農業』についてお話ししていきたいと思います。
まずドローン導入の背景・活用方法などをお伝えし、導入にかかる費用や農業ドローンの種類について詳しくお伝えしていきたいと思います。
Contents
農業ドローン導入の背景
まず初めに、農業事業にドローンを導入する背景についてお話したいと思います。
現在、日本では少子高齢化現象や若者の田舎離れにより農業従事者のほとんどが高齢化・人手不足に陥っている状況です。
また、広大な土地に対して高齢者の方々が手作業で農作業をするのは非常に困難になってきています。
実際、我々の身の回りでも農業を生業とする人はごく僅かで、会社に勤めている方が大半を占めている実感がありますよね。
こうした背景において、作業の効率化やコスト削減を実現できる「農業用ドローン」に期待が寄せられています。
2019年には農林水産省が、「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」を立ち上げ、一般化に向けた取り組みが始められるなど、官民協力体制で進められている国家プロジェクトなんですね。
農業用ドローンなど、新たなテクノロジーが農業に導入されているものを「スマート農業」と呼びます。
「スマート農業」とは、ドローンをはじめとするロボットやAI技術を駆使した新しい農業スタイルのことで、上記で紹介したようなボトルネックである高齢化や人手不足が問題視される農業の改革につながるとされているんですね。
活用方法ドローンを導入するメリット・デメリット
ここでは、ドローンを農業に導入することのメリット・デメリットについて詳しく見ていきたいと思います。
農業にドローンを導入するメリット
農業用ドローンを利用するメリットは、大きく分けて4つあります。
・作業の効率化
・重機では難しい作業ができる
・データ管理が可能
・コストの抑制ができる
以下で詳しく見ていきましょう。
作業の効率化
まず初めに、『作業の効率化』です。
これは、農業用ドローンを利用する最大のメリットとして挙げられるでしょう。
農作業の大切な工程の一つでる「散布」においては農業用ドローンを活用することで、5分の1の作業量になります。
加えて、ドローンの自動飛行により人力では困難であった夜間の作業も行うことができます。
重機では難しい作業ができる
二つ目は、『重機では難しい作業ができる』という点です。
農業用ドローンは小回りが非常に効きます。
そのため、重機では通ることができない狭い場所での作業が可能になるんです。
農業重機も農作業効率を上げてくれる非常に便利なものですが、その重機が使用できないところでの作業は今まで、人力にて行われてきました。
しかし、農業用ドローンを使用することで、広い土地はもちろん、狭い環境でも作業が簡単になります。
データ管理が可能
続いては、『データ管理が可能』という点です。
これは、スマート農業の醍醐味ともいえますが、ドローンなどのIoTを使用することで、他の媒体との連携が可能になり、今まで図ることの難しかった農場の状態や作物の状態が数値化できます。
また、農業用ドローンにカメラをつけて飛行させることで、作物の生育状況や病害虫の有無などを確認することもできます。
目には見えない農地のデータを得ることで、いち早く問題に対処できるだけでなく、その年の収穫量、来年度の農作業の最適化が図れます。
コストを抑えることができる
続いてのメリットは『コストを抑えることができる』という点です。
作業効率化や、データ管理など、上記で見たメリットはコストの削減にもつながります。
デメリットにもある農業用ドローンの初期費用があれば、そこからのランニングコストは、従来のものと比較しても、非常に安く便利になります。
農業にドローンを導入するデメリット
ここでは、農業にドローンを導入するデメリットについてご紹介いたします。
デメリットは大きく分けて以下の2つです。
・導入時にコストがかかる
・許可申請が必要
こちらも同様に、1つずつ解説します。
導入時にコストがかかる
まずは、『導入時にコストがかかる』という点です。
先ほど少し説明いたしましたが、農業用ドローンの利用には、初期費用として購入費がかかります。
機体購入費は100万〜300万円が一般的なんですね。
また、ほ場の面積に関しては、7ha以上だとドローンを活用したほうがコストを抑えられることが多く、7ha以下の場合は業者に依頼したほうが安くなる可能性が高いとされているそうです。
初期費用と、ほ場の面積との兼ね合いを見て導入を検討する必要がありそうですね。
許可申請が必要
二つ目は、『許可申請が必要』である点です。
農業用ドローンの中でも、「農薬散布」などのによる散布については、国土交通大臣への許可・承認の申請が必要になるんです。
申請にあたり、規程時間以上の飛行実績やドローンに関する知識が必要です。
必要なものの詳細は、後ほど紹介いたします。
農業ドローンでできる作業
さまざまなメリットがあることがわかった農業用ドローンですが、具体的などのような作業が可能なのでしょうか。
今現在、開発段階も含めて農業ドローンで可能とされている作業の例は以下の通りです。
- 農薬の散布
- 肥料の散布
- 収穫物の運搬
- 種まき
- 害獣発見及び監視
以下表で詳しく説明したいと思います。
農業用ドローンでできること
1 | 農薬散布 | まず、農薬の散布ですが、これは読んで字の如く、農薬を積載して空中から散布するドローン作業です。従来使用されていたヘリコプターや小型飛行機よりも低価格で手軽に作業できることが特徴なんですね。加えて、ヘリコプターで農薬を散布するよりも至近距離で農薬が撒けるため使用する農薬の量を削減することもできるので品質にも良い影響がありますよね。 |
2 | 肥料散布 | 肥料散布は、農薬散布と同様に、肥料を積載して上空から肥料を散布するドローン作業です。こちらもより手軽に作業が行えるので、山間地域などの作業がしにくい所でもその効果を発揮しています。また、最近ではその体積的な問題から液状のものではなく粒状の肥料が主流となっているようで、積載量や価格といった観点からドローンの技術の向上が求められているようです。 |
3 | 収穫物の運搬 | 収穫物の運搬は、その畑で取れた収穫物をまとめ、集荷施設へ運搬する作業です。積載量の高いドローンによって農作物運搬の作業を手伝うことで、常に最短距離の運搬が可能となります。まだ課題も残っており、農作物を十部に乗せるための運搬の最大積載重量や、初心者でも扱える安定した自動操縦技術、繰り返し使用するためのバッテリーの持続技術などが依然として開発途中のようです。 |
4 | 種まき | 種まきは、ドローンを使用して農作物の種子を運び、等間隔で撒く作業です。農薬や肥料の散布と同様にドローンによる運搬にはなるのですが、その特徴としてはドローンの低空飛行とAIによるセンシング技術を用いることで、地中に埋めることができるとこ路が挙げられます。 |
5 | 害獣発見及び監視 | 害獣発見及び監視は、農作物に群れる野生の動物の体温を検知し時には超音波などで追いやる作業です。 |
導入にあたって必要になるもの
この項目では、ドローン導入にあたって必要になる資格や費用についてご紹介していきたいと思います。
必要な資格等
まずは、必要な資格等についてです。
先ほど、「農薬散布」などのによる散布については、国土交通大臣への許可・承認の申請が必要とご紹介いたしました。
現状、ドローンに操縦免許はないので農業用ドローンを操縦するにあたって免許はありません。
しかし、国土交通省が定める航空法に許可承認を取るように定められているため、然るべき手続きが必要になります。
具体的には、ドローンを農作業に使用する場合、航空法の「物の投下」と「危険物の輸送」といった二つの項目に該当するため、その許可申請が必要になってくるんですね。
その許可申請においては、ドローン協会が定める資格を有していると免除されたり、手続きが簡易化されます。
使用を検討している人は安全のためにもぜひ資格取得を検討してみてもいいかもしれません。
実際、航空局へ申請をする場合にも、ドローンに関する知識及び10時間以上の飛行実績が求められます。
また、農林水産航空協会では、技能認定や機体の登録、事業計画書の提出をすることが推奨されていたり、農業ドローンメーカーではその企業のドローン講習会などを開催しているところもあります。
このように、農業用ドローンを導入するにあたっては、ルールのみならず、技術・知識は入念に準備が必要です。
導入時は有識者に細かい制度について聞くと良いでしょう。
導入費用
続いて気になる値段のご紹介です。
結論、用途や搭載されている機器によって値段はまちまちなのですが、専門機ということもありかなり高めの値段設定になっています。
安心・安全の観点から農業用ドローンは、100万円から300万円が相場と言っていいでしょう。
以下、実際に販売されている農業用ドローンの機体名と価格表です。
機体価格例
- EAMS ROBOTICS (イームズロボティクス)の「エアロスプレヤーAS5Ⅱ 」が70万円
- DJI(ディージェーアイ)の「AGRAS MG-1」が180万円前後
- YAMAHA (ヤマハ)「YMR-08」約225万円
- ENROUTE (エンルート)「AC1500」220万円から250万
- NILE WORKS (ナイルワークス)「自動飛行農薬散布マルチコプター」約350万円
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、農業用ドローンについて様々な観点から述べさせていただきました。
これを機会に一人でも多くのドローンパイロットが生まれ、農業だけでなくあらゆる場面で活躍することを祈るばかりです。
そのために必要な記事をこれからも更新していきますので、ご覧いただければ幸いです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。