今回は、ドローンを使用した物流についてご紹介いたします。
まず初めに物流市場の現状、続いてドローン物流の概要とメリットをお伝えし、物流に関係する法律整備、具体な事例など順にお話ししたいと思います。
Contents
物流市場の現状
※株式会社楽天「平成27年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」
まず初めに、物流市場の現場について説明していきたいと思います。
後ほど、ドローン物流の具体的な事業例でもご紹介する楽天の資料によると、近年宅配便を利用する人が増加傾向にあります。
この理由として、ショッピングがオンライン化していることが挙げられます。
さらに、現在ではコロナウイルス感染症のパンデミックがこの動きに拍車をかけているように、この記事をご覧になっている方々も宅配便を利用されている方が多いのではないでしょうか。
このような現状を踏まえ、モノをいち早く且つ確実に届ける方法の構築をすることがこの日本の経済発展に貢献しうる重要な課題の一部とされているんです。
配送・配達の課題
さて、今後の経済に大きく貢献するとされている配送事業ですが、その配送事業には大きく三つの課題があります。
再配達
一つ目は、再配達の非効率性です。
最初の項目でお見せしたグラフからもわかる通り、宅配便取扱個数は年々増加傾向にありました。
それに、伴って再配達も増えてきているんですね。
一度、配送員が訪れ、トラックを停車させ、インターホンを鳴らすというのは工数的に見てもとても手間のかかる行為です。
それが、複数の家で行われていた場合、積まれている荷物の移動は無駄になってしまうんですね。
労働生産性
二つ目は、労働生産性が低いということです。
先ほど、言及した不在配達に派生するものですが、ある指標によると都内では配達のうち40%近くが不在配達になっているとのこと。
それにより、荷物を抱えたトラックが路上に停車するため交通渋滞にも影響を及ぼしているようです。
とりわけ、東京は道幅が狭いことで有名なので、こうした積み重ねが増えることでさらなる悪影響につながってしまうようです。
ドライバーの不足
配送荷物の量が増加している一方で、ドライバーが不足していることも大きな課題の一つです。
原因は、ドライバーの高齢化などが挙げられるでしょう。
この問題に関しては、近年個人ドライバー登録のサービスが出現し始めているなど改革は進められている段階ではあります。
しかし、労働環境には再配達など他の問題との関わりも大きく依然として大きな変化は見られていません。
ドローンによる物流
ここでドローンの登場です。
上記の課題を踏まえ、ドローンで配達ができれば効率化が図れるのではないかとされているわけなんです。
物流にドローンを導入するにあたって〜法整備〜
上記は経済産業省が公開しているドローン物流実現に向けたロードマップです。
ドローン飛行可能区域の指標であるレベル4を実現することによって『ドローンを使った物流社会』にするというのが狙いなんですね。
物流市場のさらなる発展を支える可能性を秘めたドローンを、多くの人々が暮らす都市の上空で飛行させるために法律を初めあらゆる整備が進められているんですね。
このロードマップによって行われる取り組みは、機体の認証と国家資格、運航管理の遵守といったものです。
そのような取り組みを通して、機体の安全と、操縦の安全、管理の徹底を強化を測っています。
物流にドローンを導入するにあたって〜課題〜
※NECソリューションイノベーターより『ドローン物流の課題』
上記のように、法整備等様々な試作が検討されていますが、日本におけるドローン物流の実現にはまだまだ課題が山積みです。
その中でも上の図のような大きく四つの課題があるとされています。
『ドローン物流の課題』
(1)機体の飛行性能
現行のドローンの殆どがリチウムポリマー電池を動力源にしているが、バッテリー駆動では重量物の長距離輸送は難しい。現在、ハイブリッドエンジンを積める機体の開発が進んでおり、その実現が待たれている。機体まわりでは他にも、衝突回避センサーや運行管理システム、ハッキングを防止するためのサイバーセキュリティなど、考えるべきことは多い。
(2)インフラ整備
物流の動線を考慮した離発着場の整備、電波障害が起こらない環境整備や飛行ルートの設定など、インフラの整備も課題。ルートについては、障害物の少ない河川の上や送電線の上を使うなど、様々な案が出ているが、地域ごとに設定していくことが必要となる。
(3)飛行許可申請
国内でドローンを飛ばすには、航空法、電波法、道路交通法など、煩雑な手続きを行わねばならない。プラットフォームを一本化して申請手続きを簡略化するなど、改善が求められる。上空を飛行する土地の地権者からも予め許諾を得ておけるとよい。
(4)人材の確保・育成
今後、ライセンス制度も導入されることが決定したが、安全にドローンを飛ばすためには操縦技能だけでなく、運航管理における知識をもった人材を育成しなければならない。
※NECソリューションイノベーターより『ドローン物流の課題』
NECソリューションイノベーターが指摘しているドローンの課題は、『機体の飛行性能、インフラ整備、飛行許可申請、人材の確保・育成』です。
科学的観点や既存インフラとの兼ね合いなどから、機体を即導入することはまだ難しいとされています。
しかし、レベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)の実現のために地域レベル3(無人地帯における補助者なし目視外飛行)での実験はすでに行われているんです。
課題の(1)にあたる機体の飛行性能が、何よりも肝心な部分となりますので、レベル3の区域(島や山間地域など)で様々な企業が実験を行っています。
その例を次の項目で説明したいと思います。
具体的な事例
上記からもわかる通り、様々な課題が山積みなドローン物流ではありますが、それでも実験は着々と進んでいるんですね。
この項目では、日本におけるドローン物流事例を紹介したいと思います。
日本郵便
まずは、日本郵便の事例です。
日本郵便は福島県にある福島県南相馬市の小高郵便局と福島県双葉郡浪江町の浪江郵便局2か所の郵便局の間をドローンが行き交うという実験を2018年に行いました。
なんと、この実験は日本で初めて目視外によってドローン操縦が行われたものなんですね。
郵便局間は約9kmで、ドローンは2kg以内の荷物などを積載して地面から60m以下の高度を、時速約54km以下で飛行したようです。
2020年にも、東京は奥多摩の方の地域で実験を繰り返しているようですね。
楽天
続いて、楽天の事例です。
楽天は、日本初となる友人等へ向けた自動飛行ドローン配送サービスをプレスリリースしました。
楽天はかねてからドローン事業に力を入れており、様々な実験のすえ三重県志摩市内のスーパーマーケットから間崎島へ期間限定で商品を配送するサービスを展開したんですね。
このサービスでは、志摩市内にあるスーパーマーケット「マックスバリュ鵜方店」から約4km離れた広さ0.36㎢の間崎島の「間崎島開発総合センター」にドローンが荷物を届けます。
専用スマートフォンアプリもしくは総合センターに設置するタブレットにて注文をすることで、本島から購入したい商品が届くのはすごいですよね。
配送料は一回500円で、期間は1月6日から22日まで行われていたようです。
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、今注目のドローン物流についてお話しいたしました。
物流業界の光となるドローンは様々な課題を抱えつつも、着々と実現に向けて進化していることがお分かりいただけたかと思います。
これからも、ドローンにまつわる様々な記事を配信いたしますのでぜひ見てみてください。
それではまた次の記事でお会いしましょう。