今回は、ドローン輸送をテーマにお話ししていきたいと思います。
まず初めに、ドローン輸送とはについてお話しし、ドローンが輸送できる重量、国内外の事例、技術的課題、今後の発展の順にお話ししていきたいと思います。
Contents
ドローン輸送とは
ここでは、ドローン輸送について説明していきたいと思います。
ドローン輸送とは、いわゆるドローン物流の一部で、その名の通りドローンを使用した輸送サービスのことをいいます。
ドローンを使用した遠隔操縦によって、空を通して目的地まで荷物を配送できるのが最大の特徴です。
従来は、みなさんがご存知のように、トラックやバイクによる配達が主流でした。
国家間の貿易やICチップなどの軽量かつ高価値なものを除き、多くの荷物は陸路の配送によって行われています。
これは国内外問わず、世界中でメジャーな配送・輸送技術のあり方です。
しかし、こうした配送事業は近年深刻な人手不足に陥っています。
そこで新たにドローンと言う輸送手段が登場したというわけなんですね。
日本も今後の法改正により、空の産業革命に備えています。
まさに、ドローン輸送はこれからのドローン市場を支える一つの大きなビジネスフィールドと言って良いでしょう。
ドローンで輸送できる重量
この項目では、ドローン輸送できる重量について説明していきたいと思います。
結論、現在の技術ではドローンで積載できる重量は非常に小さいです。
通常の産業用ドローンで積載可能な総重量は5kg前後となっています。
現在でも5㎏程度であれば輸送することは可能なので、例えば災害救助用の道具であったり、郵便などの小型かつ軽量のものであれば、すでに輸送が実現されているものが多くあるのが現状です。
しかし、民間の輸送物のなかで一番メジャーなものでは、1〜2個を運ぶのが限界になるので、逆に効率が悪くなってしまうんですね。
また、積載量が増えることにより、リスクマネジメントの重要性も高まってくるので、高重量輸送を可能にする且つ高い安全性を実現するドローンおよび、周辺機器の開発が国内外メーカーに託されています。
以下の項目では、実際に国内外の輸送用ドローンメーカーの例をあげますので、一緒に見ていきましょう。
国内外の事例
ここでは、国内外の事例について見ていきたいと思います。
日本の事例
まず初めに、国内の事例についてご紹介していきたいと思います。
まず初めに紹介するのは、愛知県名古屋市に拠点を構える国内メーカーPRODRONEです。
PRODRONEが開発した「PD6B-Type II」の最大積載量は30kgです。
同社は、ドローンの弱点である全天候対応型、長時間かつ長距離飛行可能なドローンの作製に取り組んでいる会社です。
続いて、紹介するのは東京に拠点を構える東京電力パワーグリッドです。
この会社では、2019年から貨物運搬用のドローンを研究・開発しており、最終的には1000kg(=1トン)の運搬を可能にするドローンの実現を目指しています。
海外の事例
続いては海外の事例をご紹介したします。
まずは、ドイツの会社で空飛ぶタクシーの開発でも定評のあるVolocopter社をご紹介します。
同社は、農業機械メーカーであるJohn Deere社との共同開発により200kgの積載が可能なドローンを製作しました。
これは世界的に見ても非常に大きな進歩で、あらゆる業界とのシナジーがあることが注目が集まっています。
最後に紹介するのは、英国のSingular Aircraft社です。
同社の「FLYOX 1」は、なんと最大積載量2000kg(=2トン)とのこと。
中型貨物輸送や、災害地域・地帯への貨物輸送などの場面で使用が検討されている大型機です。
技術的課題
ここでは、技術的課題についてお話ししていきたいと思います。
まずは、NECソリューションイノベーターの資料より、『ドローン物流の課題』としては以下の四つの要素が挙げられておりました。
『ドローン物流の課題』
(1)機体の飛行性能
現行のドローンの殆どがリチウムポリマー電池を動力源にしているが、バッテリー駆動では重量物の長距離輸送は難しい。現在、ハイブリッドエンジンを積める機体の開発が進んでおり、その実現が待たれている。機体まわりでは他にも、衝突回避センサーや運行管理システム、ハッキングを防止するためのサイバーセキュリティなど、考えるべきことは多い。
(2)インフラ整備
物流の動線を考慮した離発着場の整備、電波障害が起こらない環境整備や飛行ルートの設定など、インフラの整備も課題。ルートについては、障害物の少ない河川の上や送電線の上を使うなど、様々な案が出ているが、地域ごとに設定していくことが必要となる。
(3)飛行許可申請
国内でドローンを飛ばすには、航空法、電波法、道路交通法など、煩雑な手続きを行わねばならない。プラットフォームを一本化して申請手続きを簡略化するなど、改善が求められる。上空を飛行する土地の地権者からも予め許諾を得ておけるとよい。
(4)人材の確保・育成
今後、ライセンス制度も導入されることが決定したが、安全にドローンを飛ばすためには操縦技能だけでなく、運航管理における知識をもった人材を育成しなければならない。
※NECソリューションイノベーターより『ドローン物流の課題』
また、以前投稿した別の記事では以下のようなドローン全体の技術課題があると述べました。
ドローンの技術課題
1 | バッテリー | 通常、ドローンは20〜30分飛行するのが限界で、長時間の飛行のためには一回一回バッテリーを変える必要があります。これは、ドローンが積載できる重さとその重さのなかに溜めることのできるエネルギー密度がほぼ限界に近づいていることが原因です。二つ目の問題と重なる部分ではありますが、このエネルギー密度の濃縮技術、積載量の増加によってこの問題は解決されます。しかも、逆にこの困難を乗り越えればドローン業界だけでなくあらゆる産業で技術革新がもたらされるでしょう。 |
2 | 輸送能力 | 物流などの分野でもドローンは機体がかけられていますが、その中で最大の障壁となるのがこの輸送能力です。現在にかけてかなり進化を遂げてきているドローンは、通常で5キロほどの積載が可能とのこと。これではいくらなんでも輸送インフラをそのまま取って代わることはできません。しかし、現在国内外の事業でドローン輸送の技術開発が進められており、国内ベンチャー企業でも50キロ近い積載が可能なドローン、国外では200キロもの積載が可能なドローンが研究・開発されているようです。安全性や上で紹介したような電力消費問題など、他の問題との課題は山積みではありますが、ソリューションは生み出されつつあります。 |
3 | 安定した通信インフラ整備 | ドローンの安定飛行にはGPSなど、通信技術がかなり密接に関わってきます。今現在物流が行われるような地域は、基本的に山道や人が密集しない地域です。このような地域では、まだ依然としてこの通信インフラがととのっていないケースが多々あります。5Gなど、現在の他の媒体における通信技術は革新傾向にあるため、ドローンも安定した飛行のために、安定的に強い電波の供給ができる環境づくりを行う必要があります。 |
上記二つの記事から分かることとして、ドローンの技術課題とドローンを支える法律や現場といった環境整備にそれぞれ課題があることがわかりました。
また総じて、ドローンの操縦士(パイロット)の需要はこれからさらに拡大傾向にあるので、引き続きニーズが高まっていると言えます。
2022年6月からは、ドローン操縦士(パイロット)の機体登録制度が義務化されるので、早めの登録をした方が良いでしょう。(※登録開始は2021年12月からです。)
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、ドローン輸送をテーマにお話しいたしました。
ドローン操縦士(パイロット)の需要は急速に高まっており、ドローンビジネスの将来性は大いに期待できると言えるでしょう。
これからも、ドローンに関する最新情報や技術紹介を行なっていきますのでぜひご覧いただければと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。