今回は、小型無人航空機(ドローン)の「飛行レベル4」について徹底解説いたします。
まず、飛行レベルとはについてお伝えし、レベル4が実現される背景、航空法の改正内容についてお話ししていきたいと思います。
Contents
飛行レベルとは
まず初めに、『飛行レベル』とは何かについてお話ししたいと思います。
飛行レベルとは、ドローンの飛行形態のことで、ドローン操縦における難易度の指標でもあります。
レベルは全部で四段回あり、いかがそれぞれの形態説明です。
1 | 飛行レベル1 | 飛行レベル1というのは、「目視内・操縦飛行」のことです。これは、見える範囲で手動操作する一般的なドローン利用の形態のことを指します。現在行われているドローン利活用の大部分がこのレベル1で行われており、農薬散布や空撮、一部の点検作業などは、このレベルに該当します。 |
2 | 飛行レベル2 | 飛行レベル2は「目視内飛行(操縦無し)」のことです。これは、見える範囲で自動運転機能を活用した飛行を行うものを指します。この飛行レベルでの活用例としては、空中写真測量やソーラーパネルの設備点検などが挙げられます。 |
3 | 飛行レベル3 | 飛行レベル3は「無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)」のことです。この飛行形態は、住民や歩行者など第三者がいないエリアにおいて目の届かない範囲まで飛行する形態を指します。これからの物流社会において、離島や山間部への荷物配送、被災状況の調査、行方不明者の捜索、長大なインフラの点検、河川測量などがこれに該当します。 |
4 | 飛行レベル4 | 飛行レベル4は「有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)」のことです。これは、市街地などを含めたエリアにおいて目の届かない範囲まで飛行する形態を指します。飛行レベル3と同様、これからの『物流社会』の構築に欠かせない、都市の物流や警備、発災直後の救助、避難誘導、消火活動の支援、都市部におけるインフラ点検を実現するために、このレベル4があります。 |
レベル4が実現される背景
続いて、『飛行レベル4』が導入される背景についてお話したいと思います。
まずは、以下の記事をご覧ください。
参考
政府は9日、小型無人機(ドローン)の操縦ライセンス制度の新設を含む航空法改正案を閣議決定した。機体の安全性にお墨付きを与える認証制度も新たにつくる。第三者がいる上空で操縦者が機体を視認できない目視外飛行も可能にする。今国会に提出し、成立を目指す。
国土交通省によると、今回の法改正では、第三者のいる上空を飛ばせる1等と、それ以外の地域を飛ばせる2等の二つの国家資格の免許に区分する。国の指定機関で学科と実地の試験に合格した16歳以上であれば取得できる。免許は3年更新で、ドローンスクールなど民間の登録機関での講習を受ければ、試験の一部を免除できる仕組みもつくる。
機体認証制度では、第三者のいる上空を想定した第1種と、それ以外の地域を飛ばせる第2種の枠組みをつくる。国は、機体の安全基準をつくり、設計、製造過程や実機の検査をする。
参考:朝日新聞デジタル
こうした内容からも分かる通り、世界的に進んでいる欧米諸国が、こうした物流社会の実現に向け法改正を行なっていることを踏まえ、日本でも航空事業や自動車分野などで検討が進んでいます。
2015年の11月には安倍前首相により「ドローンを使用した荷物配送を可能とする社会を目指す」という発言もありました。
その後、小型無人機の環境整備に係る官民協議会で、国内ドローン事業における今後の展開を記したロードマップが提言されました。
それが「小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」です。
このロードマップをもとに、日本におけるドローン市場の発展が進められることとなったわけなんですね。
経済産業省が主体となって制定したこのロードマップによると、物流社会の実現に欠かせないレベル4という区域でのドローン飛行を可能にしています。
レベル4とはドローン飛行レベルのことで詳しくは後ほど解説いたします。
いずれにせよ、レベル4区域でのドローン飛行を可能にするため、法改正とともにインフラ設備としてドローン免許国家資格が制定されるわけですね。
結果として、空の物流社会における機体の安全と、操縦の安全、管理の徹底を強化することがこの主たる目的としています。
航空法の改正内容
最後に、改正後の航空法についてお話ししていきたいと思います。
上記の背景を踏まえ、2022年より、全部で四つの施策が検討されています。
飛行形態レベル4区域を可能に
1つ目は、レベル4(有人地帯における目視外飛行)を可能にするです。
このレベルというのはドローンの飛行形態のことで、ドローン操縦における難易度の指標でもあります。
現状、離島などにおけるドローン配送などが実験されているようにレベル3までは飛行可能です。
しかし、今回の法改正によって資格を有するもののレベル4「有人地帯における(補助者なし)目視外飛行」での操縦が可能となります。
これによって、人々が暮らしているような環境をドローンが飛び交うことが可能になります。
国家資格の制定
2つ目は、今回のメインである国家資格の制定です。
政府は、新たな法律改正に合わせて二つの国家資格を定めることを述べました。
- 第三者のいる上空を飛ばせる1等資格
- 第三者のいる上空以外の地域を飛ばせる2等資格
それぞれ説明すると、一等資格は「第三者上空飛行に対応」というもので、簡単にいうと人のいる上空を遠隔操作することを可能にする資格です。
この資格のメリットとしては、皆さんが利用するネットショッピングで購入した商品が、自宅に配送される際に街中を飛んで来れるようにするといったことが可能になるところです。
難しくいうと、ドローン物流のために、レベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)地帯におけるドローン運用を可能にするものです。
一方2つ目の二等資格は、これまでのレベル3での飛行操縦を許すもので、初心者のためのエントリータイプと見て良いでしょう。
また一等資格との違いとして、機体の種類であったり、飛行方法などに応じて制限が加えられるものである点が挙げられます。
登録制度の制定
3つ目は、登録制度です。
これは、登録制度はドローンの所有者が誰であるかを明確にする制度です。
具体的には、操縦者の氏名や住所を、所有する機体の情報と合わせて登録し、車のナンバープレートのように機体の数字で管理するといったものです。
また、この免許制度導入に即して、従来200g以上が対象だったものを100g以上に拡大するとのことで、ドローンを使用した犯罪対策も入念に行っています。
機体認証制度の導入
4つ目は、機体認証制度です。
一方、機体認証制度はドローンの品質を守るためのもので、安全のために規格を設けようという制度です。
近年、個人や法人を問わず、ドローンやラジコン機の利活用が急増しています。
それに伴い、墜落事故や人や家屋に損害を与える、無許可飛行も増加していました。
こうした事件の責任の所在を明らかにするためにも、この機体認証制度は存在します。
この規則によって、ドローンの安全性を高めると共に、操縦者に対して機体の整備を義務付けや、民間検査機関による検査を実施するなどが予定されています。
この、機体認証制度も国家資格の区分に合わせて二つあり、第三者のいる上空を想定した第1種、それ以外の地域を飛ばせる第2種の枠組みを設定するようですね。
これからのドローン社会において、このような機体の安全基準の設定や、設計・製造過程での実機検査は欠かせないと言えるでしょう。
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、小型無人航空機(ドローン)の「飛行レベル4」、航空法の改正内容についてお話しいたしました。
ドローン操縦士(パイロット)の需要は急速に高まっており、ドローンビジネスの将来性は大いに期待できると言えるでしょう。
これからも、ドローンに関する最新情報や技術紹介を行なっていきますのでぜひご覧いただければと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。