現在の日本では、民間企業によるドローン免許の配布はありますが、ドローン操縦そのものに対する国家資格はない状態です。
しかし、ドローンの免許制度に関する整備が進んでいる海外の影響を受け、ついに日本国内でも2021年3月に政府が動きました。
今回はドローン免許の国家資格化を踏まえて、我々が知っておくべきことをご紹介したいと思います。
Contents
はじめに
まず初めに、ドローンの資格についてお話ししたいと思います。
ドローンを操縦するにあたって、資格は必要なのでしょうか。
答えは『No!』です。
実は、販売されているドローンの多くは、特段資格がなくても操縦可能なんですね。
現時点でドローン免許と言われるものは全て民間の団体が発行しているものであり、官公庁が直接発行している資格はないのが現状です。
ではそもそもなぜ、『ドローン資格』があると良いのでしょうか。
結論、法律や細かな条例が関わってくる場面が多いドローン操縦では、安心・安全のためにその知識と技術を養う必要があるからなんですね。
ドローンを飛行させる際に資格の有無ではなく、飛行させる場所であったり環境、使用する電波などにたくさんの法律や規則が関わってきます。
航空局に提出する飛行申請にも、10時間以上のドローン操縦経験を証明するらんがあり、この場面において資格を有していると申請が通りやすいといったメリットがあります。
また、趣味で終わらせるのではなく、空撮案件や点検調査を行う際には、その特殊技術を習得している証明になる資格を有していることで、顧客の方から信頼していただけるきっかけにもなるんですね。
上記のことからわかるように、結論ドローンを操縦するにおいて民間のドローン免許は必要ありません。
しかし、ビジネス利用や申請の際、そしてこれからお話しする国家資格の習得の際に、民間のドローン免許を有していることでアドバンテージが得られると言えるでしょう。
※また国家資格化に対応している筆者お勧めのドローンスクールについても併せて紹介させて頂きますので、是非最後までお読みください。
DBS(ドローンビジネススクール)
ドローン免許の国家資格化
さてここから、ドローン免許の国家資格化についてお話しいたします。
下の記事は、2021年3月9日に政府が発表したものです。
参考
政府は9日、小型無人機(ドローン)の操縦ライセンス制度の新設を含む航空法改正案を閣議決定した。機体の安全性にお墨付きを与える認証制度も新たにつくる。第三者がいる上空で操縦者が機体を視認できない目視外飛行も可能にする。今国会に提出し、成立を目指す。
国土交通省によると、今回の法改正では、第三者のいる上空を飛ばせる1等と、それ以外の地域を飛ばせる2等の二つの国家資格の免許に区分する。国の指定機関で学科と実地の試験に合格した16歳以上であれば取得できる。免許は3年更新で、ドローンスクールなど民間の登録機関での講習を受ければ、試験の一部を免除できる仕組みもつくる。
機体認証制度では、第三者のいる上空を想定した第1種と、それ以外の地域を飛ばせる第2種の枠組みをつくる。国は、機体の安全基準をつくり、設計、製造過程や実機の検査をする。
参考:朝日新聞デジタル
上記の記事からも分かる通り、今年3月政府はドローンの操縦ライセンス制度の新設などを含む『航空法改正案』を閣議決定したんです。
結論、今回の法改正によって大きく4つの事柄が決まりました。
法改正によって変わったこと
- レベル4(有人地帯における目視外飛行)を可能に
- 二つの区分の資格を制定『一等資格/二等資格』
- 登録制度の導入(ドローン機体の対象を100g以上の機体に拡大)
- 機体認証制度の導入
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レベル4での操縦が可能に
一つ目のレベル4(有人地帯における目視外飛行)を可能とするとあります。
このレベルというのはドローンの飛行形態のことで、ドローン操縦における難易度の指標でもあります。
飛行形態レベル
レベル1:目視内での手動操縦飛行
レベル2:目視内での自動/自立飛行
レベル3:無人地帯における(補助者なし)目視外飛行
レベル4:有人地帯における(補助者なし)目視外飛行
現状、離島などにおけるドローン配送などが実験されているようにレベル3までは飛行可能です。
しかし、今回の法改正によって資格を有するもののレベル4「有人地帯における(補助者なし)目視外飛行」での操縦が可能となります。
二つのドローン国家資格
二つ目は、今回のメインである国家資格の制定です。
政府は、新たな法律改正に合わせて二つの国家資格を定めることを述べました。
- 第三者のいる上空を飛ばせる1等資格
- 第三者のいる上空以外の地域を飛ばせる2等資格
それぞれ説明すると、一等資格は「第三者上空飛行に対応」というもので、簡単にいうと人のいる上空を遠隔操作することを可能にする資格です。
この資格のメリットとしては、皆さんが利用するネットショッピングで購入した商品が、自宅に配送される際に街中を飛んで来れるようにするといったことが可能になるところです。
難しくいうと、ドローン物流のために、レベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)地帯におけるドローン運用を可能にするものです。
一方2つ目の二等資格は、これまでのレベル3での飛行操縦を許すもので、初心者のためのエントリータイプと見て良いでしょう。
また一等資格との違いとして、機体の種類であったり、飛行方法などに応じて制限が加えられるものである点が挙げられます。
ちなみに、この資格には取得条件と更新目安があります。
この資格を習得するには、16歳以上であることが条件で、国が指定した機関において学科と実地の試験に合格することで資格が発行されます。
また、免許更新は3年周期とのこと。
イメージとしては、車の免許取得と免許更新のような感じでしょう。
登録制度
3つ目は、登録制度です。
一見似ていますが、登録制度はドローンの所有者が誰であるかを明確にする制度です。
具体的には、操縦者の氏名や住所を、所有する機体の情報と合わせて登録し、車のナンバープレートのように機体の数字で管理するといったものです。
また、この免許制度導入に即して、従来200g以上が対象だったものを100g以上に拡大するとのことで、ドローンを使用した犯罪対策も入念に行っています。
機体認証制度
一方、機体認証制度はドローンの品質を守るためのもので、安全のために規格を設けようという制度です。
この規則によって、ドローンの安全性を高めると共に、操縦者に対して機体の整備を義務付けや、民間検査機関による検査を実施するなどが予定されています。
この、機体認証制度も国家資格の区分に合わせて二つあり、第三者のいる上空を想定した第1種、それ以外の地域を飛ばせる第2種の枠組みを設定するようですね。
これからのドローン社会において、このような機体の安全基準の設定や、設計・製造過程での実機検査は欠かせないと言えるでしょう。
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ドローン免許を国家資格化する背景
ここでは、ドローン免許が国家資格化した背景について説明して行きたいと思います。
今回のドローン資格の国家資格化に関しての一番のきっかけになったのは、2015年にまで遡ります。
2015年の11月に、安倍前首相は「ドローンを使用した荷物配送を可能とする社会を目指す」というように述べました。
その後、小型無人機の環境整備に係る官民協議会にて、今後のドローン事業展開を記した「小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」が提言されたというわけです。
この、小型無人機の利活用と技術開発のロードマップこそ、日本におけるドローンの活用展望、法整備の根幹にあたる全てのストラテジーと言えるでしょう。
実際のものは以下の通りです。
経済産業省が公開しているこのロードマップでは、レベル4を実現することによって『ドローンを使った物流社会』にするというのが狙いです。
二つの国家資格の項目で少し説明いたしましたが、レベル4が実現すると物流がよりスムーズになります。
我々が利用する、宅配ももちろん高齢化社会に欠かせない医療配送や、ドローンを利用した災害対策もかのうになるんですね。
そのため、ドローン物流の障壁となっていた、多重の認証型の従来の方法ではなく、スムーズにドローンが利用できる新制度を設けることで、新たなインフラとして導入することが目的です。
これら機体の認証と国家資格、運航管理の遵守といった今回の取り組みを通して、機体の安全と、操縦の安全、管理の徹底を強化するものなんですね。
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やっておくべきこと
今回の法改正を踏まえて、我々がやっておくべきことは何があるでしょうか。
やはり、ビジネス利用や申請の際、民間のドローン免許を有していることでアドバンテージが得られるという点からドローン資格を取得することが第一目標として良いでしょう。
もう取得済みの方はより高度な技術を今のうちに練習することで、来たるドローン操縦士ニーズが拡大する時期に市場価値を莫大に上げることができるでしょう。
特に、空撮だけではなく、点検や測量など空撮よりも高度な技術と経験が必要な分野を鍛えることによって、日本だけではなく世界的に活躍できる人材に成長できる可能性が非常に高いです。
まとめると以下の通りです。
準備すべきこと
- 初心者の方は、今のうちに民間ドローン免許の取得
- 経験者の方は、点検測量分野でのスキルと経験を蓄積
DBS(ドローンビジネススクール)
最後に
いかがだったでしょうか。
これからの市場拡大を踏まえると、まだまだ余裕のある今のうちから検討することが肝心です。
気になった方は、この記事や他の記事を参考にしてみて、行動に移してみていただければ幸いです。
それではまた次の記事でお会いしましょう。
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