無人で大空を飛行するドローン。
ドローンは一般に上空からの空撮、人間が入れない場所の測量、災害時の活用といったものが身近な用途でしたが、ドローンを身近に楽しむ手段として注目を浴びているものにドローンスポーツが存在します。
最高時速210kmを超えるスピード感が魅力的な「ドローンレース」は、世界中の各国で実施されており、優勝賞金が1億円を超える国際大会が開催されるなど、近年大きな話題を集めています。
「空のF1」とも称されるドローンレースは、プロチームも発足しており、競技人口が世界で100万人以上とも言われる今、次期オリンピックの正式競技採用に向けた取り組みも出てきています。
そんな活発な動きを見せる中、ドローンレースに次ぐドローンスポーツとして注目されているスポーツがあります。
それが「ドローンサッカー」です。
サッカーのような戦略性を取り入れた今までにない全く新しいドローンスポーツで、スポーツの発祥の地は韓国です。
韓国では数年前から競技大会が運営され、流行してます。
近年は日本だけでなく、アメリカ、中国、東南アジアの諸外国でもドローンサッカーを世界中に普及させようという動きが活発になっています。
世界中に広まりつつある、ドローンサッカーはどんな特徴があり、日本ではどのような広がりを見せているのか。
今回はドローンサッカーについて徹底解説します。
Contents
韓国発祥のドローンサッカーとはどのようなスポーツか
ドローンサッカーは、炭素素材とドローン技術を融合して開発した、サッカーボール形のドローンでチームを作成し、相手チームのゴールポストをドローンが通過すれば得点となる新概念のレジャースポーツです。
全州市と協力機関であるケムティック総合技術院が、近年急成長しているドローン産業に着目し、全州の炭素産業を活性化させるために開発しました。
韓国の全北(チョンブク)・全州市(チョンジュシ)各界各層の専門家約20人でドローンサッカーのドリームチームを結成しています。
ドローンサッカードリームチームはドローンサッカーの拡大とドローンレジャースポーツ産業の育成のための政策開発などを担っています。
ドローンサッカーの活性化に向けて今後、全国ドローンサッカー大会を開催しています。
2017年6月28日、韓国・全州市は、ドローンサッカー普及や認知度の拡大のために、京畿道高陽市一山(イルサン)KINTEXロボ・ユニバース&Kドローン行事場にて、「第1回全州市長杯全国ドローンサッカー大会」を開催しました。
大会には、全北障害者とドローンサッカー団、全州市ドローンサッカー団、セマングム航空ドローンサッカー団など、全州市の3チームをはじめ、全国ドローンサッカー同好会と国内自治体の選手団など計19チームが参加しました。
ドローンサッカーが普及が促進されれば、炭素産業やドローン産業、ICT(情報通信技術)産業など全州市の5大新成長動力産業の発展にも大きく役立つと期待しています。
産業発展のために新たなスポーツとして開発されたことが伺えます。
■ドローンサッカーとは
日本をはじめ、世界の国や地域で導入が進められている韓国発祥の新競技で、球状のプラスチックフレームに覆われた『ドローンサッカーボール』を使用し、5対5で戦う戦略型チームスポーツです。
ドローンサッカーは、区切られたフィールド(最大幅:20m× 奥行:10m × 高さ:5m)の空間において、ドーナツ型のゴールにドローンを通すことで得点を競うスポーツです。
オフェンス用ドローン1機でポイントを獲得しつつ、他のドローン4機でオフェンスの援護や自ゴールのディフェンスすることから、ドローンの特徴であるスピードだけではなく、チームとしての連携など、高い戦略性が求められるスポーツとなっています.
【ドローンサッカーの主なルール】
①5人で1チーム。
5人のドローンパイロットでチームを作り円形のゴールが設置された長方形のフィールドの外からボール型ドローンを操縦します。
5人のうちの1人が「ストライカー」と呼ばれゴールすることによってポイントとなります。
時間内に相手チームの円形のゴールを多く潜り抜けたチームが勝者となります。
②自陣ゴールを守り、相手のゴールを狙う
相手チームの円形のゴールを狙ってボール型ドローンを操縦しながら自陣の円形のゴールの守備も必要で、テクニックやチームワークもポイントとなる戦略性の高いゲームです。
ストライカーによる攻撃のほか、自陣のデイフェンスや中間ポジションの取り方が試合結果を左右する点が、サッカーに類似しています。
③3分1セットの3セット制
3分間の試合を、3セット行い、多くセットを獲得したチームが勝者です。
セットキープ数の多いチームが勝者となり、引き分けの場合、3分間の延長戦またはPK戦を実施することが出来ます。
④インターバル中はメンテナンス。各セット間5分間
セット間のインターバル5分の間に「バッテリー交換」や「ボール型ドローン」の機体整備を行います。
機体のメンテナンスをしながらも戦術の確認なども行いサッカーのハーフタイムと酷似しています。
上記のほかにもケージやゴールといったフィールドの規程や、選手や機体の規程等、細かな規定が存在します。
日本へのドローンサッカー導入と拡大
日本へのドローンサッカー普及の事例として、大分県の別府市に専用競技場が、日本で初めてオープンしました。
国内でのドローンサッカーの普及を図り、ドローンパイロットの養成につなげるためです。
専用競技場は、屋内に設けられており、縦7メートル、横16メートル、高さ5メートルで、ドローンサッカーの機体を販売するオートバックスセブンの子会社が運営しています。
競技場の敷地は地元で障害者の自立を支援する社会福祉法人「太陽の家」が提供しています。
今後、ドローンの修理事業の拠点としても活用し、障害者の雇用を目指しています。
全国初、別府市でドローンサッカーの公式大会
ドローンサッカー公式大会「第1回JDSFカップ」が、別府市内竈の専用競技場「ADEドローンサッカーアリーナ」で開催されました。
国際ルールに基づいたドローンサッカーの大会は全国で初めて開催され、県内の高校生と社会人の3チームが出場しました。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、無観客で実施されました。
総当たり戦で大会は行われ、パイロットは操縦機を手にドローンを自由自在に動かして攻防を繰り返し、ゴールを狙いました。
全勝のオートバックスセブン大分チームが優勝しています。
日本ドローンサッカー連盟の設立
AOSテクノロジーズ株式会社と株式会社オートバックスセブン、株式会社オーイーシーの3社は、ドローンサッカーという新競技の活動を通して、地域コミュニティの活性化を促進することを目的に日本ドローンサッカー連盟を設立しています。
■日本ドローンサッカー連盟の活動内容
ドローンサッカーに関する以下の活動を通じて、地域コミュニティの活性化や青少年の健全な育成、バリアフリースポーツの導入と展開、浸透、そしてドローン操縦技術の向上を目指しています。
1.デモンストレーション等のイベント企画・運営
2.トーナメント大会の開催(地域大会、エリア大会、全国大会、日韓戦、アジア大会、ワールドカップ)
3.その他ドローンサッカー普及に関する活動
■日本ドローンサッカー連盟の今後の活動予定
韓国やその他の国や地域ドローンサッカー団体と連携し、2021年から2023年にかけてアジア大会や世界大会を開催し、2025年には第1回ワールドカップの開催を視野に入れた取り組みを進めており、日本だけでなく世界をリードすることを目指しています。
バリアフリーなスポーツとしてのドローンサッカーのポテンシャル
ドローンサッカーは、お子様からご高齢者、体に障がいを持つ方まで、年齢や性別を問わずに同じフィールドで楽しみを共有できるバリアフリーな競技として注目されています。
また、競技を通じてセンサーレスのドローンの操縦に習熟することで、ドローン飛行技術の向上とともに、 家族や企業、学校行事、地域のコミュニティなどでの、チームワークやコミュニケーションの醸成にも貢献できると考えられています。
現在、ドローンサッカーの普及活動を通じた青少年の健全な育成、地域コミュニティの活性化、障がいを持つ方々の実体験型バリアフリースポーツとしての導入と展開を実施しています。
従来のスポーツにおいては、障がい者と健常者が同じスポーツを行う場合には、健常者が障がい者の立場に立った特別ルール、所謂ハンディキャップを設定して行うのが一般的でした。
特別ルールやハンディキャップによって、両者が真剣に競技する状況にはならないのが現状です。
しかしながらドローンサッカーには、一切のハンディキャップは必要ありません。
ドローンサッカーは目が見えることと指が動きさえすれば健常者と同等にスポーツを実施することができます。
将来的には、目が見えなくとも指が動かなくても、ドローンを操ってサッカーができる科学技術が開発されるでしょうし、文字通りバリアーのない世界でのスポーツと言えます。
障がいを持った人と、持ってない人が一緒にプレーすることの一番のインパクトは、お互いの間にハンディキャップが存在しないということです。
健常者と障がい者の両方が特別なハンディキャップや意識などを持つことなく、共同で一つのスポーツを普通に行うことができるのはドローンサッカーの大きな利点です。
ドローンサッカーをプレイすることには、健常者が障がい者に配慮や遠慮をする必要がなく、障がい者が健常者に対して卑屈になったり臆する必要も全くないということです。
障がい者と健常者が’同じ一つのチームとして競技することにも全く違和感は存在しません。
施設のバリアフリーの拡大等、ハード面のバリアフリー化はもちろん必要ですが、色々な技術を活用した手段により、ソフト的なバリアフリーの環境をつくることは必要不可欠です。
バリアフリーなスポーツとして今後競技人口が増えていくのは間違いないといえます。
自動車専門サービスのオートバックスがドローンサッカーに参入する理由とは?
日本ドローンサッカー連盟設立の1社でもあるのは自動車専門サービスのオートバックスです。
自動車専門サービスのオートバックスセブンが、なぜドローンサッカーを猛プッシュしているのでしょうか?
「自動車を使ったお出かけ先で、レジャーを楽しむツールとしてドローンが良いのではないか」と考えたのがドローン参入のきっかけだそうです。
そこで、ドローン産業で世界ナンバーワンのシェアを誇る中国企業のDJIのドローンをオートバックスの各店舗で扱えるようにしました。
またドローンは、輸送、警備、測量のような様々な場面での期待が高く、今後の日本において重要な産業のインフラの中心になることは間違いないと考えられています。
国が出しているガイドラインにも今後ドローンにまつわる環境が法整備されていき、2022年には免許制度も始まる見込みです。
また、免許制度だけでなくドローン機体自体の定期点検、自動車の車検のようなものも義務付けられるようになります。
そこで、全国600店舗で展開しているオートバックスの各サービスPITで、ドローンの定期点検・修理などを実施できれば合理的で便利であると考え、ドローンにまつわる事業に注力し始めたそうです。
オートバックスでは、機体販売、点検、修理といった機体に関するするサービスだけでなく、ドローンそのもののオペレーターの育成も重要課題の一つだと考えていました。
そのため、お客さまからの要望に先立ち「ドローンの素晴らしさ」を提供する窓口としてドローンサッカーが最適と考えドローンサッカーの推進活動に取り組むようになりました。
前述している大分県別府市の専用競技場の設立や大会開催等、日本における普及や拡大において目が離せないといえます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
通常ドローンと聞いて想像するような、屋外でのドローンの操縦は法律や操作など学ばねばならないことが多いが、ドローンサッカーは競技場、コート内で行われるスポーツなので航空法等気にせず気楽に始めることができるのも魅力の一つです。
・ドローンサッカーは韓国の全州市で市の重点産業の一つである炭素産業の活性化を目的に新たなスポーツとして開発された。
・ハイスピードで上空を舞うドローンが派手に衝突する画や、チームによる駆け引きが魅力のスポーツであること。
・目が見え、指で操縦することさえできれば身体的な優位が存在しないスポーツであるため、健常者だけでなく、障がい者の方でも取り組み易いスポーツでバリアフリーなスポーツであること。
・日本ではオートバックスが力を入れており、大分県別府市が日本発の競技場や大会を開くなど推進していること。
ドローンレースに次ぐ次世代のスポーツとしてドローンサッカーは、多くの方々が気楽に始められるスポーツであることから今後拡大されることが予測されます。
背が高い、足が速いなど身体能力の差が関係ないドローンサッカーは操縦技術がものをいう世界です。
屋内で気楽に始めることができますので、操縦の練習の一環として取り組んでみてはいかがでしょうか。
それではまた。