今回は、倉庫のIoT(アイオーティー)化の一躍を担う『倉庫用ドローン』についてお話しいたします。
まず、倉庫用ドローンの概要について国内外の開発企業の事例を交えてお話しし、導入の背景、導入のメリットの順にお伝えしていきたいと思います。
Contents
倉庫用ドローンとは
まず初めに、倉庫用ドローンとは何かについてお話ししていきたいと思います。
倉庫用ドローンとはその名の通り、倉庫内で活躍ドローンです。
主な業務として、荷物の管理が挙げられます。
近年、倉庫事業はIoT化が進む世の中において最も変化が起きた事業の一つで、これまで人が行っていた作業をロボットによって代替させ、コストダウンやミスの削減、物流の円滑化に貢献してきました。
今では、世界中の投資家が倉庫事業の完全自動化に期待しており、後ほど紹介するような『スマート物流』を支える企業に数多く投資しています。
『倉庫用ドローン』は、スマート物流の一角を担いこれまで人によって行われていきた倉庫内の在庫管理を行います。
以下では、実際に倉庫用ドローンを開発している企業をご紹介していきたいと思います。
国内外の開発事例
まず、ブルーイノベーション株式会社の事例です。
この会社は、複数のドローンやロボット、各種デバイスを遠隔・目視外で自動制御・連携させることでさまざまな業務のDX化を進めている会社です。
中でも、ブルーイノベーション独自のデバイス統合プラットフォームである「Blue Earth Platform(BEP)」を主軸とし、様々なオートメーションに対応しているようです・
その中に、倉庫用ドローンのソリューションもあります。
具体的には、屋内でも安定飛行する産業用ドローン「Mini」を使用し、先ほどのBEPで一括管理することで業務の自動化・最適化を実現しています。
取引先には、官公庁や大手通信会社、大手システムインテグレーション会社、大手電気メーカー、大手重工系会社などがあり、実績も多数あります。
次に、IFM(IntelligentFlyingMachines)の開発事例です。
IFM(Intelligent Flying Machines)はアメリカのベンチャーで、当社のCEOはBMWに勤めていた経歴を持っています。
IFM(IntelligentFlyingMachines)は、CEO自身が課題意識を持っていた在庫紛失問題に、彼がBMWで学んだ人間・ロボットインターフェースの知識を生かそうと起こした会社です。
IFM(IntelligentFlyingMachines)では、ドローンの小集団を使用したソリューションを提供しています。
お掃除ロボットのルンバのように、各ドローンが倉庫内の上空を巡回し、在庫検査を終えると着陸して充電する構成になっています。
こうすることで、ドローンの弱点であるバッテリー時間が解消され、シームレスな作業が可能になります。
エラーが生じた際も、作業者の手元にあるタブレットに警告が送られる仕組みになっているとのこと。
倉庫用ドローンが導入されることになった背景
続いて、倉庫用ドローンが導入されることになった背景についてお話ししていきたいと思います。
その背景として大きなものとして、二つ挙げられます。
倉庫事業の在庫紛失損害
一つ目は、倉庫事業における在庫紛失は毎年数千億円の損失を企業に与えていることです。
先ほどの、開発企業紹介ででたIFM(IntelligentFlyingMachines)のCEOの発言にもあったように、倉庫事業における在庫紛失は世界的に被害額が大きいものです。
その多くが内部犯行による盗難で、定期的に商品が紛失しているとのこと。
従来、その犯行を止めることは難しく、内部犯によるものでは、防犯カメラで撮影した映像など決定的な証拠がないと被害届が出せないほど管理者にとって厄介なものです。
しかも、その管理品自体の管理が甘いところでは窃盗としてそもそも認められないケースもあるようで、倉庫業界にとってはかなりややこしい問題になっています。
ここにおいて、倉庫用ドローンなどの倉庫内IoT化の動きは商品の在庫状況を一括管理でき、コスト削減や質の高い管理ができるだけでなく、窃盗が起こりがちな人と品々との接触機会が減ることも上記の問題の解決に大きく作用するとされています。
こうした流れから、これまで人の手で行っていた在庫管理を倉庫用ドローンが行うことが注目されているのです。
物流事業推進
二つ目は、物流事業推進の流れがあるという点です。
今現在、コロナウイルスの後押しもあり、世界的に物流業界に革新が起こっているところです。
そうした世界的潮流を踏まえて、日本でも経済産業省がドローン物流実現に向けたロードマップを公開しました。
このロードマップでは、ドローン飛行可能区域の指標であるレベル4を実現することが掲げられており『ドローンを使った物流社会』の実現が謳われています。
そうした政府の動きを踏まえ、官民一体となって、物流市場のさらなる発展を支える可能性を秘めたドローンを、多くの人々が暮らす都市の上空で飛行させるために法律を初めあらゆる整備が進められている最中です。
物流の中でも、人々に物資を届ける一般消費者向けのオンラインショッピングが最も馴染み深いものですが、これには倉庫が不可欠です。
新型コロナウイルスが拍車をかけた物流事業において、荷物の管理の重要性がさらに高まりました。
そこにおいて、倉庫内IoT化は最も力を入れるべき施策の一つとして注目されているわけなんですね。
倉庫にドローンを導入するメリット
続いて、倉庫用ドローンのメリットについて詳しくみていきたいと思います。
倉庫用ドローンを導入するメリットは以下の通りです。
倉庫用ドローン導入メリット
1 | 商品の在庫状況をデータで一括管理できる。 | 大量生産社会と言われる今日では、倉庫には数多の商品が陳列されており、毎時間商品が出入りしているのが現状です。その中から全国の消費者一人一人の自宅に配送ラインを敷く必要があるため、商品の在庫管理は非常に難しいケースが多くあります。そこで、倉庫用ドローン等を使用し、商品の所在をデータ化することによって、商品が今どこにどのような状態であるのかが一括管理できます。 |
2 | 配送ミスを減らすことがきる。 | 上記のような方法で管理されているため、配送のミス、商品のミスを減らすことができます。 |
3 | 品質管理が行える。 | 食品等期限がある荷物の場合、その鮮度が重要になります。倉庫のIoT化が進むことによって、そうした日付・時間の管理も正確なものになるため、鮮度を保ち、生産者と消費者との信頼をつなぐ役割を全うできると言えます。 |
4 | 大幅なコスト削減ができる。 | 倉庫用ドローンの大きなメリットの一つに、人員削減があります。これまで人の手で行っていた管理をドローンが変わることで、何十人も必要だった管理範囲を数台で管理することができます。 |
5 | 24時間素早い作業が可能。 | 上記に加え、ドローンであれば充電時間をのぞいて24時間働くことができるので、年中無給で配送・管理のデータ管理を行うことができます。 |
6 | 窃盗被害を減らすことができる。 | 人との接触機会が減ることによって、在庫損失損害の可能性をグッと抑えることができます。 |
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、倉庫用ドローンの概要について国内外の開発企業の事例、導入の背景、導入のメリットなどの面から多角的にお伝えいたしました。
ドローン操縦士(パイロット)の需要は急速に高まっており、将来性は大いに期待できると言えるでしょう。
これからも、ドローンに関する最新情報や技術紹介を行なっていきますのでぜひご覧いただければと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。