今回は、水中ドローンをテーマにお話ししていきたいと思います。
まず初めに、水中ドローンの概要についてお話しし、水中ドローンの市場について、そして水中ドローンの点検事業の順にお話ししていきたいと思います。
Contents
水中ドローンとは
まず初めに、水中ドローンとはについてお伝えいたします。
水中ドローンとは、水中に潜水・潜航して自由に移動しながら撮影などの作業ができる水中ロボットの一種です。
表記としては、小型のROV(Remotely Operated Vehicle)とされることが多くあります。
あまり見慣れないかもしれませんが、ドローン市場の拡大に伴って日本においても近年産業利活用が促進されてきています。
水中ドローンの利活用が期待されている主な作業は、潜水士の代替やサポートです。
現在、潜水士による水中撮影はもちろん、水中構造物の点検、調査、工事、水難救助、水産業など、潜水業務は、人口減少により深刻な人手不足にあります。
この現状に追いて水中ドローンは、潜水士の負荷軽減や安全確保、潜水業務コストの削減、取得データの有効活用などの導入メリットがあるとされ、注目されています。
陸上で見られるドローンと同様に、複数の回転翼を使用し自由に潜水・潜航できることや、高画質・高精細カメラを搭載できる点、潜水可能深度が100mを超える機体など、その性能は日々進化しています。
そのため、ラジコンなど個人で楽しまれる領域を超え、新たな水中ビジネスを生み出すポテンシャルを持っています。
また、近年では建設業の他に、海上保安庁などの官公庁、大学等の研究機関、漁業事業者などが水中ドローンを導入する事例もみられます。
こうした背景より、産学官の連携が高められ、水中ドローン普及推進が行われることが予想されるので、その市場は拡大傾向での推移が見込まれます。
水中ドローンができること
ここでは、水中ドローンでできることについてお伝えしたいと思います。
水中ドローンには、実際に以下のような活動領域があります。
水中ドローンの活動領域
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海鳥探知 |
従来、中規模のカツオ漁船などでは、魚群を発見するためにレーダーを用いて魚を狙う海鳥を探知し、該当の場所に赴いて漁を行うスタイルが一般的です。ただし、実際に魚群を確認するためには、船を現場まで移動させて人が目視する必要があります。海外の大規模なカツオ漁では、ヘリコプターを使って魚群を発見する方法を実施しているのですが、コストの問題もあり導入できる国内の業者はほとんどいない状況でした。そこで、ヘリコプターに替わる魚群を発見する方法として注目されているのがドローンの活用です。遠隔操作のドローンが海鳥を探知して魚群を発見できるため、効率よく漁を行うことが可能になります。これによって、人件費や船の燃料費などの削減につなげることができるとされています。 |
2 | 赤潮や病気の早期発見 | 漁業では赤潮や水カビなどが発生することで、事業に深刻なダメージを与えるケースも多いです。そのため、養殖などを行っている企業では、定期的に養殖場を監視する必要があります。しかし、大規模な養殖場を持つ場合、管理する業者の負担も大きく、赤潮や水カビの発生を未然に防ぐことが難しい状況でした。そこで、ドローンで空撮した映像をAI解析することで、赤潮や水カビの初期症状を早期感知する実証実験が行われており、被害を最小限に抑えるための有効な手段として現場への本格導入に期待が集まっています。 |
3 | 定置網の確認 | 定置網漁を行う業者が、水中ドローンを有効活用する事例を紹介します。定置網漁を行う業者にとって、定置網のメンテナンスに伴う確認は大きな負担がある作業です。もし網が破損していた場合には、早急に修復する必要があるのですが、定置網の範囲は非常に広く、人が水中を潜って確認すると大きな負担がかかります。特に冬場は水温が低くなり、厳しい作業になることは想像に難くないでしょう。一方、定置網漁は基本的にどのような魚がどれだけ網に入っているかについては、網を上げてみなければ分からないというデメリットがあります。そのため、ときには期待した取れ高が得られない場合もあるでしょう。こうした課題を解決するために、水中ドローンの活用が始まっています。例えば、カメラ付きのドローンを遠隔操作することで、定置網の破損個所を見つけたり、定置網の中の状況を事前に確認したりすることが可能です。定置網のメンテナンスと漁の取れ高をコントロールできることで、生産性を高めることができるでしょう。 |
4 | 簀内の確認や清掃 | 養殖を営む業者においては、生け簀のメンテナンスや魚の体調管理などの作業をすべて人が行う必要があり大きな負担になっていました。しかし、水中ドローンの有効活用によって、生産性を向上している業者が現れはじめています。最近は水中ドローンの技術が進化し、水深100mまで潜れるものや、6時間程度連続稼働できるものも登場しています。また、4Kで収録可能なカメラや高機能な照明を搭載することで、水中の様子が手に取るように把握できることはもちろん、ロボットアームの活用によって幅広い作業の実施が可能です。水中ドローンは主に生け簀を囲う網の状況を確認して痛んだ箇所を早期発見する用途や、魚の健康状態を把握する用途で活用されています。魚の死骸やごみなどをロボットアームで取り除ける点も大きなメリットだといえるでしょう。 |
水中ドローンの市場
※MDB Digital Searchの資料より
ここでは、水中ドローンの市場についてお伝えしたいと思います。
上のMDB Digital Searchの資料をご覧ください。
この資料によると、2025年度の水中ドローン国内市場は70億円となる見込みとされています。
そのマーケット規模を支える水中ドローンの用途としては、陸上・船上から遠隔操作し、海底、ダム、洞窟等の水中の撮影や調査に用いられることが検討されています。
今後、そうした水中ドローンの軽量化や低価格化、操作性の向上が進められ、水中ドローンの用途が広がると予想がされているんですね。
また、水中ドローンの活用利点としては、冒頭でもお伝えしたように、潜水士による調査・撮影よりも質が高く、安全性も担保されている作業が可能なところが挙げられており、ダイバーの代替需要が拡大傾向にあります。
今後はより一層、産学官の連携による普及促進が行われ、ビジネスフィールドも、建設業だけでなく海洋調査での利用拡大が期待されるため、70億円もの市場拡大が見込まれているんですね。
水中ドローンの点検事業
ここでは、今回のメインテーマである水中ドローンの点検事業についてお話ししたいと思います。
水中ドローンを使用した、点検作業は従来潜水士によって行われてきました。
その作業内容は、水中部にある沈没船や建物の支柱、そうした海洋構造物の状態を確認するというものです。
海洋構造物、建築物への腐食に関して、水中ドローンに音響測深機を積載させ、鋼板の点検するというものになっています。
また、合わせて水質の調査もできるので、SDGsに考慮した作業が可能です。
有線ではあるものの、潜水士では点検作業が困難である深い部分であったり、狭く作業が難しい海中部でも点検がたやすく安全性も高いので、非常に注目されているビジネスです。
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、『水中ドローン』をテーマにお話しいたしました。
ドローン操縦士(パイロット)の需要は急速に高まっており、ドローンビジネスの将来性は大いに期待できると言えるでしょう。
これからも、ドローンに関する最新情報や技術紹介を行なっていきますのでぜひご覧いただければと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。