皆様もご存知の通り、近年さまざまな分野でドローンの活用が進められています。
その中でも特に注目されているのが無人大型航空機=ドローンに人を乗せて運ぶ「ドローンタクシー」なんです。
空飛ぶタクシーなんて、SFの世界の話じゃないかと言われる方もいるかもしれません。
しかし、それが近い将来実現するとまで言われているのが現状なんですね。
今回は、そんな『ドローンタクシー』についてお話しいたします。
ドローンタクシーが何かという概要説明、世界や日本におけるドローンタクシー、課題の順でご紹介していきたいと思います。
Contents
ドローンタクシーの概要
まず初めに『ドローンタクシー』の概要についてお話しいたします。
『ドローンタクシー』とは、人が載せられる大型ドローンで人を目的地まで運ぶというコンセプトのサービスのことを指しています。
現在のドローンは基本的に小型のものが多く、実用例としても空撮や農業作業、点検事業、測量などの分野で活用されています。
しかし現在、そんな小回りのきくドローンを活用した「空飛ぶタクシー」の実用化が世界的に勧められているんですね。
そのルックスと用途から、従来の飛行機やヘリコプターと何が違うのか気になる人もいるかと思います。
結論、相違点としてはドライバーがいるかいないかです。
安全・安心を実現した自動操縦もしくは遠隔操作により目的地まで運んでくれるようなイメージですね。
仮にこのような大型ドローンを活用した『エアモビリティ』が実現できたとしたら、渋滞に巻き込まれたとしても上空をスイスイと飛行できるようになるでしょう。
現在の日本の法律が変化していることからも分かる通り、ドローンは今宅配などの物流分野で「物」を運ぶ実証実験や実用化に向けた動きが積極的に進んでいるところです。
今後、科学の進歩によるリスクの軽減ができた段階で「物」だけでなく「人」を運ぶようになる日常が訪れるかもしれませんね。
世界と日本におけるドローンタクシーの開発状況
続いてはドローンタクシーについて、世界中の開発企業を紹介します。
世界各国の大企業やベンチャー企業は、数年前からドローンタクシーの実用化に向けた開発を進めていました。
ここでは、そんなドローンタクシーを研究・開発している各企業の取り組み状況を見ていきましょう。
中国 EHang社
ドローンタクシーという言葉が最初に話題になったのは、2016年のCESです。
CESとは、Consumer Electronics Showの略称で、毎年1月全米民生技術協会が主催し、ネバダ州ラスベガスで開催される電子機器の見本市のことです。
その場に現れたのが、冒頭の写真にも使用されていた中国のドローンメーカーEHang(イーハン)社が出展した「EHANG 184」でした。
これは、一人乗りドローンで、アプリを使って完全な自律飛行が可能な物だったんです。
さすが現在でもドローン業界を牽引している中国だけあって、すでに完成度の高いドローンタクシーとも言われていて、当時EHang社のブースは人だかりが絶えなかったそうですね。
このように中国のドローンメーカー「EHang(イーハン)社」は、最も早くからドローンタクシーを開発に乗り出した企業と言えます。
CESの翌年、2017年にはドバイで実用化に向けた試験運転を開始し、2020年には自社ドローンを使用した遊覧飛行ビジネスにも参入しました。
現在は、離島向けの物流、救急医療分野で事業を展開したり、日本でも視野に入れられている都市部での交通目的での使用に向け開発をしているようです。
これからもドローン事業のタクシー分野を牽引する企業の一つと言えるでしょう。
ドイツ Volocopter社
世界的に初めて注目されたのは中国のドローンメーカーEHang(イーハン)社ですが、実はそれよりも先にドバイでドローンタクシーを飛行させていた会社があるんです。
それがVolocopter社です。
上記の写真は、ドバイで試運転されたものです。
見た目は非常にヘリコプターに似ていますが、18個のローターで高度100メートルを30kmも移動できるんです。
非常に繊細な動きと安定感から、ドバイにある超高層ビルの間をすり抜けることもできるようです。
Volocopter社はドイツにあるベンチャー企業で、写真のように多数のローターを搭載したドローンが特徴の会社です。
有人ドローン開発を始め、現在では半導体メーカーのintel(インテル)とシステムを共同開発するまでに成長しています。
実際、世界に先駆けて友人ドローンを開発していただけあり、2011年には手作りのドローンにそのまま乗るという実験もされていたようですね。
フランス RATP×エアバス
ドローン開発はベンチャー企業だけではありません。
フランスでは、2019年に国鉄にあたるパリ交通公団(RATP)が欧州航空機大手エアバスと提携して、都市交通としてのドローンタクシーを開発しています。
花の都パリからスタートし、ヨーロッパの主要な都市で展開できるドローンタクシーを開発段階とのこと。
2019年段階では、具体的に実用化する時期などはプレスリリースには書かれていない現状がありました。
しかし最近公表されたフランスの記事(※参考)によると、先ほど紹介したドイツのVolocopter社と2021年にテストを実行するとのこと。
ヨーロッパの街並みを上空から見れる日も遠くないのかもしれません。
アメリカ・韓国 Uber×ヒュンダイ
こちらはアメリカと韓国が共同で開発したドローンタクシーです。
みなさんご存知の飲食配達とタクシーを運営するUberと、自動車メーカーでドローン機体の開発も進めているヒュンダイが作成し、導入を検討している段階にあります。
その名も空飛ぶタクシー「Uber Elevate」です。
実際に、2023年にサービス開始を予定しており、これまでの配車サービスをUberが、サービス機体の製造をヒュンダイが行うと正式に発表されています。
2020年のCES(Consumer Electronics Show)では、新たな機体である「SA-1」が公開されました。
最高時速は290kmで、最長100kmもの飛行が可能となっている点で、従来のものより遥かに飛行距離があるとされています。
また、将来的には自動飛行も検討されており、2023年までに『ダラス、ロスアンゼルス、メルボルン』の海外主要3都市にターミナルを設立させるとのことです。
近年ものづくりの技術が向上している韓国メーカーの参入は、日本メーカー市場のライバルといえるでしょう。
日本 SkyDrive社
日本でも「ドローンタクシー」の開発が進められています。
SkyDrive社は、愛知県豊田市を拠点にするドローン機体を開発する会社です。
日本政策投資銀行、伊藤忠、NEC、大林組といった大企業から巨額の出資を受け、大型ドローンによる有人飛行をしています。
2020年の8月には、有人での飛行実験をさせており、今注目されている企業の一つです。
ドローンタクシーの課題
近年劇的に成長を遂げているドローンタクシーですが、法整備や技術面などまだまだ課題は山積みといえるでしょう。
ここでは、今後解決すべき課題を『法律・ルール、安全性、技術性』の大きく三つに分けてご紹介いたします。
法律・ルール
まず初めに法律とルールについての課題です。
『ドローンタクシー』を実現するにあたって、安全性などの観点から法律や飛行ルールを整える必要性があります。
現在日本においても航空法改正がなされていますが、それは主にモノの物流にフォーカスした法整備なんですね。
ドローンタクシーの実用化にあたり、人を乗せての移動が必要になるので、モノを運ぶ物流よりも多くのリスクを伴うことが予想できます。
このことから、新しい空のインフラ整備には政府や国が一体となって進めていく必要性があります。
安全性
次に安全性です。
法律やルールも安全に帰依する目的で定められていますが、ドローン機体自体の安全性があってこその規則です。
ただでさえリスクの大きい空での移動に関して、十分な安全基準を設ける必要があります。
手軽に利用できることを目的としてるだけあり、リスクヘッジとのバランスが難しいのが現状です。
実際に有人ドローンは様々開発されていますが、一台あたりのコストがかなり高いのも事実です。
大量生産×安全規格を実現するためには、より時間が必要だと言えます。
技術性
最後に技術性での課題です。
ドローンタクシーだけでなくドローンに共通した技術課題として、『バッテリー』があります。
通常、ほかの電気製品と同じく、電気自動車(EV)にはリチウムイオンバッテリーが使用されています。
ところが、そのバッテリーをドローンタクシーに応用しようとしても重すぎて積載できないというデメリットがあるんです。
しかも、バッテリーの技術は進化していっているものの、エネルギー密度の点では限界に近づいていると多くの専門家が述べています。
さらに問題となるのが、法律によりバッテリーに加えて予備のパワーも残す必要があるということです。
ここからいえることとして、今後はバッテリーと合わせてそれ以外の解決策を模索する必要があります。
逆にこの困難を乗り越えればドローン業界だけでなくあらゆる産業で技術革新がもたらされるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は『ドローンタクシー』について現在の開発状況から、機体を研究している世界と日本の企業、ドローンタクシー導入にあたっての世界の課題についてお話しいたしました。
法整備や安全規格など、細かい周辺環境はまだまだ未成熟ですが、ドローンの機体に関してはかなり開発が進んでいるので、実用化もそう遠くないのではないでしょうか。
空を自由に跳べる時代がすぐそこだと思うとワクワクしますよね。
これからも、ドローンについての記事更新をしていくのでぜひご覧ください。