今回はドローンを使用した災害対策・救助についてご紹介いたします。
近年あらゆる分野で活用が進んでいるドローンですが、災害分野においても利活用が進んでいます。
Contents
ドローンの災害救助
まず初めに、ドローンの災害対策活用についてお話ししたいと思います。
その安定性から、従来のドローン活用は空撮などの撮影機材として使用されることが多くあります。
この撮影できるという要素が、災害場面の対策に利用できるとされ活用が進んでいるんですね。
活用例を挙げるとすれば、被害状況の確認、危険個所での行方不明者の探索、建物の安全確認などでその機能が発揮されます。
実際の実例としては、2016年に起こった熊本地震が日本では有名です。
また、海外でも2017年にカリフォルニア州南部で発生した大規模な山火事において、火事による被害状況の確認であったり、近隣住民の安否確認のためにドローンが活用されました。
このように、ドローンを使用することで、今まで侵入することが難しかった場所での撮影が出来るだけでなく、そこまで到達するコストなども抑えて進入することができます。
こうした背景から、現在日本ではメーカーやドローン協会、地方自治体が協力して『ドローンの災害対策活用』を進めている状態にあります。
ドローンを使用することのメリット
先ほど少し言及した部分ではありますが、災害対策においてドローンを活用することのメリットをここでは具体的に紹介して行きたいと思います。
迅速に対応できる
一つ目は、そのスピードです。
ドローンを使用する場あり、災害が起こってからドローンを立ち上げ、スタンバイするまでの工程が少なく、非常にスムーズな為迅速な対応が可能となります。
中には、自動車よりも早く操縦できるものもある、例えば民間航空機の「Phantom 4」であれば時速72kmで飛行可能です。
また、2016年に発売された4Kカメラ搭載ドローン「Teal」に関しては最高時速が112kmとドローンの中でもトップクラスに早い機体です。
上空には渋滞もないので、そこを踏まえてもいち早く現場の情報を習得することができるでしょう。
取得できる情報量の多さ
続いて、取得できる情報量の多さです。
従来のドローンは、一般的な災害救助用ヘリコプターよりもはるかに地上に接近することができます。
また、積載しているカメラも高性能なものが多く4Kの画質であったり、赤外線対応カメラ、マルチスペクトルカメラなど用途に合わせた高性能カメラを積めます。
そのため、物理的な接近が測れるだけでなく、その至近距離から高性能なカメラを使用することで、時には現場にいるよりも多くの情報を収集できるようですね。
近年では、災害時の出動だけではなく、その情報を利用した災害マップの作成を3Dの状態で行うこともできるようです。
このように、ドローンは災害のあらゆる救助現場において活躍できるような優位性を持っています。
コストカット
続いてコストカットできるというのもドローンを利活用する魅力の一つです。
災害が起こった際、その影響範囲というのは大規模なものが多く、それゆえに作業は大量の人員と車両が必要になります。
その際、ドローンによる作業はそれを大幅に簡易化でき、精度高く行うことができるため費用面で『低コスト』が実現できるんですね。
また、先ほどのコストの例と同様に、大量の人員と作業車両が不必要な場合それだけ効率的に作業が行えるというのも大きな利点です。
災害の影響で人が侵入しにくい場所にいたり、作業に必要な車などの導入がないため圧倒的に少ない日数での作業を可能となります。
活用方法
一つ前の項目で、ドローンを災害対策に使用するメリットをお伝えいたしました。
ここでは、実際にどのような現場でどのような活用のされ方がされているか見て行きましょう。
災害発生直後の安否・被害確認
まず一つ目は、災害発生直後の安否・被害確認です。
災害が発生した後、その拠点敷地内の被害確認を迅速に行う必要がある場合にドローンが使用されるというわけです。
また、地上だけではなく人が入っていくにはリスクが発生してしまうような建物内へ侵入する場合にもドローンは有効です。
高性能なカメラとスピーカーを積載すれば、リアルタイムでカメラの情報が取得できるだけでなく、その場に人がいた場合指示も可能です。
余談ではありますが、マイクに関しては、ドローンの飛行音が邪魔をするため、積載が困難だそうです。
上記のように、緊急事態の際には迅速にドローンを稼働させ、災害範囲の情報収集ができるのは最大のドローンの魅力です。
災害発生前の対策
ドローンは災害が発生する前の対策にも効果的です。
災害発生時のリアルタイムの情報を蓄積することで、発生後次の状況予想を含めた対策が可能になります。
また、それだけではなく、赤外線カメラを搭載したドローンを使用することで、サーモグラフィ撮影による設備の劣化や異常個所の早期発見が可能です。
そうすることで、災害が発生する前に、建物の劣化状況のレベルを知ることができ、修理もしくは最悪でも避難指示に生かすことができます。
具体的な活用事例
続いて、これまでの災害において実際にドローンが活用された例を見て行きましょう。
2016年:熊本地震
まず最初に熊本地震です。
この熊本地震においては、被災地の空撮を通してドローンが貢献しました。
具体的には、災害時にドローンが空撮映像を撮り、被災者の方々のための目的地までの道を考えるヒントにしたり、熊本城や神社仏閣などの被災状況を確認するために使用されたみたいですね。
2017年:九州北部豪雨
続いて、2017年の九州北部豪雨です。
九州北部豪雨においては、航空法改善後ということもあり、ドローンを用いて被災地の空撮を基にした情報のリアルタイム更新がされました。
メリットのところでも紹介した、被災の影響で人が立ち入れない場所においてドローンを操作し、撮影した被災地の映像から交通規制や避難場所の勧めをウェブ上で公開したようです。
リアルタイムで更新される避難方法のため、被災者にとっても非常に有効な手段だったとして高い評価を受けました。
また、この際の情報を政府や自治体の災害対策に活用され、今後の対策の大きな情報源として使用されたとのこと。
これまで紹介した、ドローンのメリットを最大限に生かした『迅速な初動対応と情報の共有化』が生かされた事例と言えます。
災害時の法規制について
ところで、操縦士(パイロット)の方の中には詳しい人も多いかと思いますが、かなり複雑な法規制に関して、災害時はどのようになっているのでしょうか。
結論、現段階での法律では、災害発生時のような緊急時であっても、規制範囲内において事前申請なしにドローンを飛行させてしまうのは法律に違反してしまいます。
航空法
<飛行が制限されている空域>
- 空港等の周辺の空域
- 地表又は水面から150m以上の高さの空域
- 人口集中地区の上空
<遵守しなければならない飛行方法>
- アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
- 飛行前確認を行うこと
- 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
- 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 第三者又は第三者の建物、第三者の車両などの物件との間に距離(30m)を保って飛行させること
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催し場所の上空で飛行させないこと
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
しかし、申請を提出する先である自治体そのものであったり、自治体や警察などから依頼を受けた場合、事前申請等が必要なくドローンの使用が可能なんですね。
このことは、航空法:「道府県警察、国・地方公共団体又はこれらから依頼を受けた者が、事故・災害に際し、捜索、救助のために無人航空機を飛行させる場合に該当する場合には、航空法に関する規制等が適用されなくなり、事前申請等が必要なくドローンの使用が可能となる」という部分から分かります。
結論、国や地方自治体、行政機関からの正式な依頼を受けている場合、申請は不要。
しかし、そうでない場合には使用の許可申請が必要と言えるでしょう。
ただし、ポイントとして屋内でのドローン操作は規制の対象外です。
そのため、施設内におけるドローン飛行は、事前の申請等の必要ありません。
もちろん災害時には避難が最優先ではありますが、災害後ボランティアなどで施設内の点検を使用する場合は申請は基本的にいらないんですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、ドローンの災害対策における活用方法についてご紹介させていただきました。
結論、緊急事態の際には迅速にドローンを稼働させ、災害範囲の情報収集ができるだけでなく、災害の規模を縮小させる点検ができる点がドローンの魅力と言えます。
災害場面でのドローン活用はこれからさらに進んでいくと考えられるので、動向が気になりますね。
それでは次の記事でお会いしましょう。