今回は、ドローンの農薬散布ビジネスをテーマにお話ししていきたいと思います。
まず初めに、ドローンビジネスについてお話しし、農薬散布ビジネス、得られる収入、課題、今後の順にお伝えしていきたいと思います。
Contents
ドローンビジネス
まず初めにドローンビジネスについてです。
ドローンのビジネスと聞くと『空撮事業』を想像する方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際にはドローン市場は拡大傾向にあり、ざっと数えるだけでも以下のような事業が展開されています。
ドローンの活動領域
- 農林水産分野
- 土木・建設分野
- 点検分野
- 空撮分野
- スクール事業分野
- 搬送・物流分野
- 防犯監視分野
- 倉庫工場(屋内利用)
- 鉱業分野
- 計測・観測分野
- 保険(損害保険)分野
- エンタテインメント分野
- 通信分野
- 公共分野
- 運搬分野
この項目では、上記の中でも三つほどポピュラーなものをお伝えしたいと思います。
点検事業
まず一つ目は、点検事業です。
公共インフラの壁やコンクリートなどを点検する際、赤外線カメラなどを搭載した特殊ドローンでその点検業務を行い報酬を受け取るというビジネスがあります。
ドローンに赤外線カメラを積載させ、コンクリート面の浮きを検出したり、空撮写真・映像の解析によって損傷部分を可視化することによって点検業務を行なっています。
従来のコンクリート等の劣化診断を行う際は、目視と打音調査が基本とされていましたが、ドローンを利用することで短時間かつ安全性高く作業を終わらせることができるんですね。
空撮事業
続いて、空撮事業です。
ご存知の通り、有名なドローンのお仕事である空撮は、ドローンにしか取れない角度・高さ・カメラワークでの撮影を行い報酬を受け取るビジネスです。
最近では、カメラの種類も多岐にわたっているため、最近ではテレビやPV動画などでドローンの技術を生かした映像作品がよく見かけるようになりました。
農業事業
最後に、今回の主題である農業事業です。
農業事業には以下のようなドローンの活動場所があります。
- 農薬の散布
- 肥料の散布
- 収穫物の運搬
- 種まき
- 害獣発見及び監視
その中でも、農地に撒く農薬・肥料をドローンに積載させ、半自動的に農地全体に撒布させるというドローンビジネスが一番主流です。
ドローンを利用することで、上空からの散布によって広大な農地でも短時間で作業を終わらせることができ、コストの低減に繋がります。
詳しくは以下の項目で紹介していきたいと思います。
ドローン農薬散布ビジネスが熱い背景
ここでは、ドローン農薬散布が今熱い背景についてお話ししたいと思います。
現在、日本は少子高齢化社会です。
日本の第一産業はそうした少子高齢化の影響や、若者の田舎離れの打撃をかなり受け、農業従事者のほとんどが高齢化・人手不足に陥っている状況にあります。
また農地はとても広く、高齢者の方々が手作業で農作業をするのは非常に困難です。
こうした背景があり、テクノロジーを駆使してこの問題にアプローチをするスマート農業が注目されています。
その中でも作業の効率化・コスト削減を可能とする「農業用ドローン」に期待が寄せられているんですね。
2019年には農林水産省が、「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」を立ち上げ、官民協力体制でこのスマート農業プロジェクトが進められています。
ドローン農薬散布で得られる収入
ここでは、ドローン農薬散布で得られる収入についてお話ししていきたいと思います。
現在、ドローンや無人機ヘリコプターを使用した農薬散布の単価相場は10a当たりのものになっています。
ネット情報によると、単価相場は10a(アール)あたり2000~3000円でした。
そこからは、各農家さんの所有する土地面積によってかかる費用が変わってきます。
例えば、農薬散布を外注する農家さんの田畑を10haとすると、一回の農薬散布外注費の相場はおおよそ200,000~300,000円になります。(※農地面積が10haの場合)
農薬散布の種類としては、雑草の防除や殺菌殺虫剤の散布があるため、1農家あたり1年に3回〜5回ほどがスタンダードと言えます。
そのため、1農家さんが一年間外注してくれた場合、副業の年収だけで、600,000円〜1500,000円を稼ぐことができます。
ドローン農薬散布をやる上で必要になるもの
ここではドローン農薬散布を副業でやる上で、知っておくべき知識・機材などを紹介したいと思います。
まず、農薬散布用のドローン機体です。
ドローン機体の値段は、メーカーによって様々ですが、相場は100万円前後です。
中には、100万円を大きく下回るドローンもありますが、安全性や性能、長期的に利用することを踏まえると、よく考えて購入する必要があります。
どれくらいの規模感で行うのかしっかり検討した上で、購入しましょう。
続いて、知っておくべき法律についてお話ししていきたいと思います。
農林水産省の情報によると、以下のような法律が操縦に関わってくるようです。
知っておくべき法律
- 航空法:ドローンによる農薬散布は、国土交通大 臣の承認が必要となる飛行形態「危険 物輸送」「物件投下」に該当します。
- 農薬取締法:農薬ラベルに記載されている使用方法 を遵守し、農薬のドリフトが起こらないよう注意することが必要です。
※農林水産省の公式ガイドラインより
最後に、ドローン飛行の申請方法です。
同じく、農林水産省の公式ガイドラインによると、申請先や提出物は以下の通りになっています。
ドローン飛行の申請方法
- 申請先 :飛行予定場所を管轄する空港事務所または地方航空局。(オンライン申請 / 郵送 / 持参)
- 申請期限:飛行開始予定日の10開庁日前までに申請。 (必ず10日以内に承認されるわけではありません。余裕を持って申請してください。)
- 提出物:申請書、機体・飛行させる者・体制について安全確保のための基準に適合 していることを示す書類・資料。
- その他 :個々人による申請だけでなく、機体メーカーや販売代理店等による 代行申請も可能です。 最大1年間までの包括申請が可能です。
※農林水産省の公式ガイドラインより
ドローン農薬散布の課題と今後
ここでは、ドローン農薬散布の課題と今後についてお話ししたいと思います。
ドローン農薬散布の課題として、『機体性能を上げていかなければならない・ドローン操縦士(パイロット)の不足』ということがあります。
現在、様々な農業用ドローン機体が開発されていますが、ドローンが積むことができる農薬の量や飛行時間にはまだまだ改善の余地があります。
また、散布が必要な箇所を発見するセンサーやカメラの技術が向上すれば、作業効率が劇的に上がります。
そして何より、最近進められ始めたドローン農業散布なので、これから導入が増えるにつれてその特殊な産業用ドローンを操縦する操縦士(パイロット)の需要が高まります。
今後は、そうした技術課題改善・人材育成を中心に考える必要があります。
従来あった農業用ドローン利活用の規制も緩和されたので、これからさらなる農薬散布用ドローンの普及は進んでいくでしょう。
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、ドローンの農薬散布ビジネスについてお話しいたしました。
ドローン操縦士(パイロット)の需要は急速に高まっており、その中でもドローン農薬散布ビジネスの将来性は大いに期待できると言えるでしょう。
これからも、ドローンに関する最新情報や技術紹介を行なっていきますのでぜひご覧いただければと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
追記:ドローンの国家資格化を踏まえても農薬散布はドローンビジネスとして熱いのか?今から準備できることは?
2022年6月現在の国家資格と民間資格について
ドローンの運転に関する免許が2022年12月から国家資格化すること方針が明らかになりました。
そのため、裏を返せば現在は国家資格ではないのですが、今ドローンスクールに通ったり、民間資格を取得したり、ドローン操縦の技術を体得することに
「どうせ国家資格化するなら民間資格を取得しても意味が無いのでは?」
「国家資格化してからスキル磨いた方が良くない?」
と思われる方も多いと思います。
しかしながらこれは、半分正解で半分不正解というのが筆者の持論です。
確かにドローンの国家資格化の内容が明らかになり、
学習すべきことが決定してからの方がスキル習得のモチベーションが向上する、
という考えは筆者も理解できます。
ただ、国交省はドローンの操縦に関しては、民間資格は延長線上に国家資格があるという考えを示していると筆者は考えています。
なぜなら国交省は以前から、ドローンの国家資格化を進めるにあたり
「現在の民間資格に最大限の配慮を行う」
「民間資格の保有者には国家資格取得の際に、一部試験の免除も検討している」等と発言しているからです。
また、当然国家資格の取得の難易度は民間資格よりも難しくなることが予想されるため、
民間資格と国家資格の2つの異なる資格が存在するというよりも、
国家資格を取得する過程で民間資格も取得するといった流れが主流になると予測されます。
そのため、国家資格の要件が確定されるのを待つのではなく、
先にドローン操縦のスキルやドローン関連法などの知識の取得を行う方が
ライバルとの差別化という点において得策だと思われます。
そのため、ドローンでビジネスを検討している方は、ドローンスクールに通うなどの方法を速めに検討するのがいいでしょう。
ドローンの国家資格化と農薬散布ビジネスについて
さて前置きが長くなりましたが、続きましてドローンが国家資格化することと農業散布ビジネスに関連性について、筆者の持論を展開していきたいと思います。
結論から言うとドローンの国家資格化はドローン農薬散布ビジネスを促進させる可能性が極めて高い、と思われます。
前述の通り、ドローンを飛行させる場合、趣味であれば免許や資格は必要ありません。
一方で事業の一環として農薬散布を畑や牧場に行う場合、
産業用マルチローター技能認定に合格し「オペレーター」にならないといけません。
この資格は産業用の農薬散布ドローンを操縦する人に向けて、農林水産航空協会が運営している認定資格なのですが、
こちらの資格に類似する権限がドローンの国家資格保持者には付与されるか、
国家資格保持者は産業用マルチローター技能認定取得に何らかの優遇措置が取られる可能性が高いと筆者は考えています。
また、国家資格化することでドローンビジネスが「政府公認」になったという見方もできると思います。
そうなると、ドローンを使った農薬散布に限った話ではないですが、ドローン操縦の国家資格化により、
ドローンビジネス全体の信用が向上する
と言えるでしょう。
またその中でも、ドローンを使った農薬散布は薬品を使用することから、より一層の高い信用が発注者側から求められます。
そのことから、ドローンの国家資格化は特に農薬散布ビジネスにとって有益だと考えます。
これを機にドローンの農薬散布事業の参入を検討するのもいいかも知れません。
また、農業界の抱える人材不足をはじめとするさまざまな課題を解決するためのツールとして、ドローンが近年大きな注目を集めています。
小型で運行の安定性が高いドローンは、農業における農薬・肥料散布や害獣対策、精密農業にとても有用です。
更には、農業分野にドローン技術が導入されてからというもの、ドローンの操縦士はや登録機体数は鰻の登りで急増し、導入した多くの農家で生産性の向上が立証されています。
一方で、「本当ドローンが何ができるのか」を100%理解している方は少ないと思います。
ここを理解していないと、農業へのドローン導入、農薬散布ドローンだけではなく、他のドローンビジネスを展開する上での何をしていいかわからなくなると思いますので、
是非当サイトを読んでドローンについての理解を深めて頂ければと思います。