今回は、2021年の航空法改正により2022年から新たに施行予定の『ドローン登録義務化』についてお話ししていきたいと思います。
まず初めに、ドローン国家資格について、ドローン国家資格化の背景、無人航空機登録ポータルサイトについての順でお話ししていきたいと思います。
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ドローン国家資格化の背景
まず初めに、ドローン免許国家資格化の背景について説明したいと思います。
結論、ドローン免許国家資格化の背景には、ドローンを使った物流社会の実現という政府の狙いがあります。
以下の2021年3月9日に政府が発表した記事をご覧ください。
参考
政府は9日、小型無人機(ドローン)の操縦ライセンス制度の新設を含む航空法改正案を閣議決定した。機体の安全性にお墨付きを与える認証制度も新たにつくる。第三者がいる上空で操縦者が機体を視認できない目視外飛行も可能にする。今国会に提出し、成立を目指す。
国土交通省によると、今回の法改正では、第三者のいる上空を飛ばせる1等と、それ以外の地域を飛ばせる2等の二つの国家資格の免許に区分する。国の指定機関で学科と実地の試験に合格した16歳以上であれば取得できる。免許は3年更新で、ドローンスクールなど民間の登録機関での講習を受ければ、試験の一部を免除できる仕組みもつくる。
機体認証制度では、第三者のいる上空を想定した第1種と、それ以外の地域を飛ばせる第2種の枠組みをつくる。国は、機体の安全基準をつくり、設計、製造過程や実機の検査をする。
参考:朝日新聞デジタル
こうした内容からも分かる通り、世界的に進んでいる欧米諸国が、こうした物流社会の実現に向け法改正を行なっていることを踏まえ、日本でも航空事業や自動車分野などで検討が進んでいます。
2015年の11月には安倍前首相により「ドローンを使用した荷物配送を可能とする社会を目指す」という発言もありました。
その後、小型無人機の環境整備に係る官民協議会で、国内ドローン事業における今後の展開を記したロードマップが提言されました。
それが「小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」です。
このロードマップをもとに、日本におけるドローン市場の発展が進められることとなったわけなんですね。
経済産業省が主体となって制定したこのロードマップによると、物流社会の実現に欠かせないレベル4という区域でのドローン飛行を可能にしています。
レベル4とはドローン飛行レベルのことで詳しくは後ほど解説いたします。
いずれにせよ、レベル4区域でのドローン飛行を可能にするため、法改正とともにインフラ設備としてドローン免許国家資格が制定されるわけですね。
結果として、空の物流社会における機体の安全と、操縦の安全、管理の徹底を強化することがこの主たる目的としています。
国家資格化になる上での変更点
続いて、ドローン国家資格化に伴う変更点についてお話ししていきたいと思います。
上記の背景を踏まえ、2022年より、全部で四つの施策が検討されています。
1つ目は、レベル4(有人地帯における目視外飛行)を可能にするです。
このレベルというのはドローンの飛行形態のことで、ドローン操縦における難易度の指標でもあります。
現状、離島などにおけるドローン配送などが実験されているようにレベル3までは飛行可能です。
しかし、今回の法改正によって資格を有するもののレベル4「有人地帯における(補助者なし)目視外飛行」での操縦が可能となります。
これによって、人々が暮らしているような環境をドローンが飛び交うことが可能になります。
2つ目は、今回のメインである国家資格の制定です。
政府は、新たな法律改正に合わせて二つの国家資格を定めることを述べました。
- 第三者のいる上空を飛ばせる1等資格
- 第三者のいる上空以外の地域を飛ばせる2等資格
それぞれ説明すると、一等資格は「第三者上空飛行に対応」というもので、簡単にいうと人のいる上空を遠隔操作することを可能にする資格です。
この資格のメリットとしては、皆さんが利用するネットショッピングで購入した商品が、自宅に配送される際に街中を飛んで来れるようにするといったことが可能になるところです。
難しくいうと、ドローン物流のために、レベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)地帯におけるドローン運用を可能にするものです。
一方2つ目の二等資格は、これまでのレベル3での飛行操縦を許すもので、初心者のためのエントリータイプと見て良いでしょう。
また一等資格との違いとして、機体の種類であったり、飛行方法などに応じて制限が加えられるものである点が挙げられます。
3つ目は、登録制度です。
一見似ていますが、登録制度はドローンの所有者が誰であるかを明確にする制度です。
具体的には、操縦者の氏名や住所を、所有する機体の情報と合わせて登録し、車のナンバープレートのように機体の数字で管理するといったものです。
また、この免許制度導入に即して、従来200g以上が対象だったものを100g以上に拡大するとのことで、ドローンを使用した犯罪対策も入念に行っています。
4つ目は、機体認証制度です。
一方、機体認証制度はドローンの品質を守るためのもので、安全のために規格を設けようという制度です。
近年、個人や法人を問わず、ドローンやラジコン機の利活用が急増しています。
それに伴い、墜落事故や人や家屋に損害を与える、無許可飛行も増加していました。
こうした事件の責任の所在を明らかにするためにも、この機体認証制度は存在します。
この規則によって、ドローンの安全性を高めると共に、操縦者に対して機体の整備を義務付けや、民間検査機関による検査を実施するなどが予定されています。
この、機体認証制度も国家資格の区分に合わせて二つあり、第三者のいる上空を想定した第1種、それ以外の地域を飛ばせる第2種の枠組みを設定するようですね。
これからのドローン社会において、このような機体の安全基準の設定や、設計・製造過程での実機検査は欠かせないと言えるでしょう。
今回の国家資格化の内容をまとめると以下のようになります。
法改正によって変わったこと
- レベル4(有人地帯における目視外飛行)を可能に
- 二つの区分の資格を制定『一等資格/二等資格』
- 登録制度の導入(ドローン機体の対象を100g以上の機体に拡大)
- 機体認証制度の導入
無人航空機登録ポータルサイトとは
ここでは、無人航空機ポータルサイトについて話していきたいと思います。
上記の背景、そして変更点の「機体認証制度」を踏まえ、国土交通省は2021年12月20日、新たに機体登録の事前受付を開始しました。
その機体登録を行う総合オンラインサイトが国土交通省による「無人航空機登録ポータルサイト」です。
対象は機体重量100g以上のドローンなどの無人航空機で、内容としては所有者情報などを機体と紐付けて登録することを義務化するものです。
こうした内容の「航空法」は、2022年6月から改正されることも決定しました。
特筆に値する内容として、2022年6月19日までに登録した場合は、機体情報などを発信する小型無線機器「リモートID」の搭載が免除されるというものがあります。
この機体認証制度は、2022年6月に施行される航空法改正内容を鑑みて行われており、現在は推奨段階ではありますが、その日以降、無登録の場合は法律違反になってしまうので注意が必要です。
最大で、1年以下の懲役刑または50万円以下の罰金が科される可能性もあるようです。
こうした機体登録制度には、「事故発生時の所有者把握」「事故の原因究明や安全確保」「安全上問題のある機体の登録拒否」という大きく3つの趣旨があります。
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、2021年の航空法改正によ2022年から新たに施行予定の『ドローン登録義務化』についてお話しさせていただきました。
現在、産官学のそれぞれの期間が一貫となって「空の産業革命」関連の取り組みの実現を行っています。
これからも、ドローンに関する最新情報や技術紹介を行なっていきますのでぜひご覧いただければと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。